ウソだったTPPの経済効果。安倍政権の狙いは「環太平洋の軍国化」だ

欺瞞に満ちた「TPP参加による経済効果」その実態は?

当初、内閣府が試算したところ、日本がTPPに参加した場合の経済効果は、「GDPを2.7兆円押し上げる」だけと報じていました。

しかし、マスコミは、「10年間で」という言葉を書かずに報じていたのです。そう、1年間で、たったの2700億円です。

2700億円といえば、安倍晋三が外遊するたびにばら撒く税金の額にも及ばない額です。

関税率がどうのこうの、関税撤廃の品目がどうのこうのと、連日、マスコミは書きたてていますが、関税が10%であろうと、関税がゼロであろうと、そんなことはさして問題ではなく、世界が基準としている名目のGDPは、ほとんど為替によって決まってくるということを、私たちは日銀の「異次元の量的金融緩和」によって体験させられています。

アベノミクスが始まってから、名目GDPは40%も減ってしまいました。さらに、この間の円ドル為替相場は、76.30円から120.21円まで、なんと60%近く安くなっているのです。

米ドル/円 月足(SBI証券提供)

米ドル/円 月足(SBI証券提供)

円安で輸出が増えて貿易赤字が減る、というセオリーは、アベノミクスに関する限り幻想でした。海外の投資家は、去年の秋頃にすでに「アベノミクスは失敗だった」と結論付けています。

10月8日に発表された、企業の設備投資を占う上で重要な指標になっている機械受注は対前月比で「-5.7%」と3ヶ月連続の減少になっています。

また、同日に発表された景気ウォッチャー調査で、景気の現状判断DIは「47.5%」と50%を割り込みました。

9月末に第一中央汽船株式会社が民事再生法の適用を申請しました。海運業者としては過去2番目の大型倒産です。

景気の確かな先行きは、すでに政府が操作して官製相場になってしまっている株式市場の動きからではなく、コモディティー、特に銅の価格やバルチック海運指数の推移から明確に判断することができます

銅の価格は、すでに世界の景気後退が迫っている恐ろしい兆候を示しています。

銅先物(COMEX)月足(SBI証券提供)

銅先物(COMEX)月足(SBI証券提供)

そして、船の運賃の推移を指数化したバルチック海運指数も、とうとう下げに転じました。つまり、海外の国同士の輸出入の数量が減っていくことを示しているのです。これは、世界的に物を買わなくなっているという傾向が強くなっている証拠です。

「暗いことばかり言って日本の強さを削ぎたいのか!」と怒る人がいるでしょう。「悪いことばかりじゃなくて、対外純資産は366兆円に膨れ上がって3年連続で最高になったじゃないか」と。

これも、急激な円安によって外貨建て資産の円換算額が膨らんだに過ぎず、単なる数字のマジックに過ぎません。再び円高傾向になれば、すぐさま、しぼんでいきます。

もはや、日本経済の地位は完全に失墜し、その将来には確かに重苦しい暗雲が垂れ込めているのです。

外国の格付け会社が、立て続けに日本の国債の格付けを下げたのも、今回に関しては妥当である、すんなり受け入れざるを得ません。今や、日本国債の信用性は中国や韓国以下になってしまったのです。
(※マネーボイス関連記事: S&Pの日本格下げは「消費税2%還付案」への痛烈なダメ出しだ=矢口新

テレビの経済ニュースでは、経済学者や国際経営コンサルタントが、「確かに日本経済はよくなっている」と言っています。

ただし、これは「対外純資産は366兆円に増えた」という理屈と同じで、名目上の数字が良くなったというだけの話です。

消費税を8%に上げることによって確保された新たな財源のほとんどが大企業の法人税減税に回されているにも関わらず、大企業の設備投資への意欲は減退するばかり。その一方では内部留保に血道を上げているというのが現状です。

これは何を意味しますか?大企業は経済崩壊に備えているのです。

こうしたことは、あくまでもドルベースで見ないと本当のDGPの推移など分からないのですから、連日のマスコミ報道など、まったく意味がないのです。

ですから、TPPで関税がどうした、こうしたなどという不毛な議論は、今すぐに止めるべきです。危険でさえあるのです。

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