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1765万円の貯金が24年で枯渇する!「介護破産」を防ぐための保険知識=新美昌也

厚生労働省が今年7月に発表したデータによると日本の平均寿命は男性80.50歳、女性86.83歳とともに過去最高になっています。長生きする人が増えていることは喜ばしいことですが、年齢が上がるにつれ高まるのが介護リスク。ファイナンシャルプランナーの新美昌也さんは、誰もが要介護になる可能性があるとして、そうなる前に知っておくべき保険知識を紹介しています。

他人事じゃない介護問題、お金の不安を減らす必須知識

年金だけじゃ足りない老後資金、貯金を切り崩しても約24年で枯渇

老後の生活の柱は、公的年金ですが、総務省の平成26年「家計調査報告」によると、高齢夫婦無職世帯(夫65歳以上、妻60歳以上、世帯主の平均年齢74.6歳)の1か月平均の家計収支は、実収入約20.7万円に対して、支出は約26.9万円で赤字額は約6.2万円となっています。

つまり、平均的な高齢夫婦世帯は、貯蓄を取り崩して生活をしているのが実態です。では、貯蓄は、どのくらいで枯渇してしまうのでしょうか。

60歳代の2人以上の世帯における金融資産保有残高(金融資産を保有していない世帯を含む)の平均額は1,765万円であり(金融広報中央委員会:平成26年家計の金融行動に対する世論調査)、これを取り崩して赤字額6.2万円の補てんをした場合、約24年で貯蓄が枯渇してしまいます。

60歳男性の平均余命は23.14歳、女性は28.47歳(厚生労働省:平成25年簡易生命表)です。65歳~69歳では2.9%の要介護認定率も、85歳以上になると59.1となり、加齢に伴い急上昇します。

対策は十分?要介護になれば家計への負担は重大

長生きできることは喜ばしいことですが、一方、介護のリスクが高まります。つまり、誰にでも介護が必要になる、と言えます。

もし介護になったら、家計の危機に直結します。公的介護保険がありますが、原則1割負担とはいえ、平均的な高齢者には大きなな負担です。そこで、介護に備え対策を立てておく必要があります。

事前の対策としては、健康を維持する、情報収集する、介護費用の積立、民間介護保険に加入するなどがあります。介護になる原因は様々ですが、最も多いのは「脳血管疾患」、次いで「認知症」となっています。

高血圧にならないように、塩分を控えたり、毎日、軽い運動をする、認知症予防として、声を出して本を読む、などを実践して健康を維持することに努めることが大切です。情報収集としては、公的介護保険制度の内容、自治体のサービスなどを自治体のホームページや小冊子などで調べておくと、イザというときに慌てずにすみます。

介護は、交通事故や予期せぬ病気で、突然、介護状態になることもあります。公的介護保険は、40歳未満は利用できず、40歳~64歳までは16種類の特定疾病で要介護状態になったときしか利用できませんので、民間介護保険で備えておけば経済的に助かります。

介護対策が不十分な方に教えたい公的介護保険とリバースモーゲージ

ただ、介護状態に備えて、貯蓄や民間介護保険で準備している人は少ないのが現実ではないでしょうか。では、事後の対策としてはどのようなものがあるかというと、誰でも利用できるのが公的介護保険です。

会社員であれば、介護保険料は給与天引きされますが、それ以外の方は保険料の滞納には留意しましょう。たとえば、保険料を2年以上滞納すると、介護サービスを受けた場合の自己負担割合が3割に引き上げられます。また、高額介護サービス・高額医療合算サービス費の支給が受けられなかったり、食費・居住費の減額が受けられなくなります

公的介護保険では、原則1割の自己負担で介護保険サービスを受けることができますが、平均的な高齢者にっては大きな負担です。サービスメニューにないサービスや利用限度額を超えたサービスを受けた場合、超過分は10割の自己負担となりますので、平均的な高齢者にっては利用したくても利用できる状況ではありません。1割負担ですら、利用限度額近く利用することは家計の大きな負担となるので、必要なサービスを受けていないケースもあります。

このような場合、住んでいる持ち家を担保に生活資金を借りることができる制度があるのですが、ご存じでしょうか。これは、リバースモーゲージと言われ、利用者が死亡した時に自宅を売却して借入を清算するしくみです。

民間のリバースモーゲージは主に富裕層を対象としていますが、自治体で実施しているリバースモーゲージは低所得世帯を対象としたものです。

リバースモーゲージを利用するには、利用者本人に判断能力があることが前提ですので、認知症になってからは利用できない点には留意しましょう。

【関連】健康管理で助成金?知らなきゃ損する自治体・健保のユニーク制度=FP・拝野洋子

民間介護保険120%活用法』2015年10月20日号より一部抜粋
※太字、見出しはMONEY VOICE編集部による

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民間介護保険に詳しいファイナンシャル・プランナーとして、日本経済新聞、読売新聞、産経新聞、高齢者住宅新聞や週刊朝日など、多数、取材協力してしているCFP新美昌也が民間介護保険を中心に、公的介護保険や自治体のサービス、民間の介護サービス、高齢者向け住宅のこと、利用者への支援制度、法律の動向、介護と仕事の両立などの周辺知識も情報発信していきます。

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