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『そこまで言って委員会』で景気は回復していないと反論した真の理由=三橋貴明

作家の三橋貴明さんは先日、読売テレビ系の討論バラエティ『そこまで言って委員会NP』に出演した際、株価が上がっているから「景気は回復している」と発言した飯島勲氏(特命担当内閣官房参与)に、「景気の定義は何ですか?」から始まる重要な反論をぶつけました。

私たちがふだん何気なく使う「景気」という言葉。この言葉の意味をしっかり理解することは、主権者である日本国民の義務でさえあると三橋さんは考えています。

記事提供:『三橋貴明の「新」日本経済新聞』2015年11月2日号より
※本記事のタイトル・リード文・本文見出し・太字はMONEY VOICE編集部によるものです

『そこまで言って委員会』に学ぶ、言葉の定義の大切さ

番組内で、株価が上がっているから「景気は回復している」に反論

経済指標に限らず、使われている言葉の定義、あるいは「概念」を理解しない限り、「正しい読み方」はできません。

情報について「正しい読み方」ができない場合、その後の現実が望ましくはない方向に進んでしまいます。間違った問題認識に基づき、正しい解決策を生み出すことはこの世の誰にもできません。

先日の読売テレビ系『そこまで言って委員会NP』で、株価が上がっているから「景気は回復している」と発言された飯島勲さん(内閣参与)に対し、わたくしが、

景気の定義は何ですか?国民の所得つまりはGDPが増えているかどうかでしょ?2014年はGDP成長率がマイナスで、直近もマイナス成長なのに、なぜ景気が回復していると言えるのですか?」

と反論したのは、言葉の定義を明確化しなければ、正しい方向に物事が進むことはないためです。

曖昧すぎる自民党の新キャッチフレーズ「経済で、結果を出す。」

日本経済が2年連続で(恐らく)リセッションに突入したことを受け、自民党はポスターのキャッチフレーズを「経済で、結果を出す。」に決定したそうです。

何となく、「ああ、自民党もようやく反省し、現実を認め、国民の所得を増やす政策に転換する気になったんだ」と思われた読者が多いかもしれませんが、本当にそうでしょうか。

「経済」とは、元々は経世済民から取られた「ポリティカル・エコノミー(政治経済)」の訳語ですが、国民の受け取り方は「幅広い」わけです。

安倍政権の構造改革で、確かに一部の企業やグローバル投資家は潤います。彼らは自らの「利益」が増えたことを受け、「安倍政権の経済政策は上手くいっている」と主張するでしょう。

とはいえ、その場合はほぼ確実に多数派の国民が置き去りです。

だからこそ、「経済とは経世済民、つまりは国民を豊かにするという意味。豊かになるとは、マクロ的にはデフレギャップの解消と、適切なインフレ率、名目GDP成長率の維持。ミクロ的には実質賃金の継続的、安定的な上昇」と、定義を明確化する必要があるのです。

「豊かさ」の定義を踏まえた財政出動を

日本の場合、上記「国民が豊かになる経済」を実現する道は明らかです。すなわち、デフレギャップを埋める財政出動になります。

財政出動」とは、政府最終消費支出と公的固定資本形成の拡大、減税、所得移転(手当系)であり、定義が明確です。それに対し「経済の結果」は、非常に不明確な言葉です。

自民党のキャッチフレーズが「経済成長のための財政出動」であればともかく、「経済で結果を出す。」と、非常に抽象的な表現を打ち出してきた以上、「言葉」の定義を追求し、政府を正しい方向に誘導することは、日本国の主権者にして「主人公」である日本国民の義務だと思うのです。

何しろ、政府が間違った方向に突っ走った結果、災難を被るのは我々日本国民なのでございます。

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