fbpx

郵政相場はいつまで続く?/「落ちこぼれアナリスト」の予想を疑え=櫻井英明

ラジオNIKKEI『ザ・マネー』などでパーソナリティーを務める櫻井英明さんのメルマガ『兜町カタリスト』。カタリストとは今後の相場を動かしそうな材料、触媒のことで、文字通りマーケットの動きを的確に知るための情報を日々配信しています。今回はそんな中から、今週前半に注目を集めた代表的な材料「日本郵政」「決算相場」「中国情勢」「米利上げ」をピックアップしてご紹介します。

櫻井英明が見た今週のカタリスト~郵政、決算、中国情勢、米利上げ

郵政相場はいつまで続く?

季節外れの郵政3社祭りのあとに来るものは郵政酉の市(とりのいち)。今年は三の酉まであるから都合が良い。

一の酉は11月10日(火)のFTSE日本株指数への組み入れリバランス。日本郵政に800万株(135億円)、ゆうちょ銀に800万株(133億円)、かんぽに100万株(36億円)だった観測。

二の酉は10月17日(水)のMSCI標準指数への組み入れリバランス。日本郵政が2339万株(398億円)、ゆうちょ銀に2105万株(351億円)。浮動株ベースで4.5%程度の買い需要と観測されている。

三の酉は12月29日の大引けで発生するTOPIXへの組み入れリバランス。酉の市とは季節感がずれるが……。株数金額は12月7日引け後の浮動株比率発表によるが事前観測は浮動株の8~10%程度の買い需要。

郵政相場は少なくとも大納会の前日まで続くということになろうか。

決算では「落ちこぼれアナリスト」の予想を疑え

決算発表の時期。

アナリストの予想平均に届かなかったという理由で増収増益あるいは最高益更新でも売られる銘柄がある。市場の期待に到達しなかったのは事実だが、その市場の期待が正しいのかどうかは疑問のあるところ。

こんなことを言うと叱責されそうだが、ごく一部の優秀なアナリストを除いて個別の株やセクターのアナリストという職種はどちらかというと仕事ができない人が担ってきたのが歴史。

最近は違うだろうが、かつての証券界ではトラブルを起こしたり病気療養後の人たちが比較的担当する職種であった。企画とか営業とか、あるいはトレーダーという単純作業ですら向かない人たち。

頭脳優秀だが実務には不適。中間管理職とか経営などはどちらかと言えば程遠い世界。彼らが鉛筆をなめて作った目標に未達だからといって憶する必要はなかろう。

ところが市場は経営結果の業績に基づいた指標ではなくアナリスト予想を重視しがちというのがおかしな点。少なくとも当該業界に精通した優秀なプロが行っている経営に、素人のアナリストが文句をつけられるはずはない。

本来は「片腹痛い」とでも言えるような風土がトップやIR担当者には必要かもしれない。もしもアナリストが未達を非難するならば、例えば彼自身が経営したら目標を越えられるのだろうか。自分でできない目標を押しつけて、できなければ非難する管理職みたいなものと思った方がスッキリするかもしれない。

どうもここに大きな誤解と多大な錯覚があるような気がする。バイサイドのアナリストやファンドマネージャーにひれ伏する必要性はないし、発行体とアナリストは対等なはずである。傲慢尊大なセルサイドなど論外と言っても良い。

もっとも当方のような株式評論家稼業などはこれら以前のレベル。「他人のことはアレコレ言うが自分のことは何もできない」みたいな存在。稀に「他人のことのはアレコレ言って自分のことも余念なし」というのも見かけるが……。

中台首脳会談から見えてきた「一枚岩」でない中国

日経2面で指摘されたのが中国国防省のサイトに掲載された論文。

「日本海軍は開戦後4時間で中国東海艦隊を消せるとうそぶくが笑い話とは言えない。中国は勝てなければ、国際問題が国内問題になる」

中国軍最高位の上将で国防大学政治委員の論文とはとても思えない。「習近平氏は軍の論客の口を借りて対日関係修復の気球を上げた。だが真の狙いは対米関係だ」という声も聞かれる。その延長戦上に今回の台湾との会話もあったのだろう。

その台湾では、かつてしばしば中国軍と台湾軍を比較した番組が組まれていた。

「中国軍は数は多いが古いものばかり。新鋭機の多い台湾が圧倒的に有利」。

いまでもそんな放送があるのかどうかは知らないが、そんな見方があったことは事実である。

軍を抑えられるのかどうかというのは、実は中国経済にとっては大きな課題。つまり政治と経済と軍事は同じながら同床異夢。それぞれ一枚岩でなく違う方向を向いているのだとしたら意外とあの国も分かりやすくなる。

不透明さがぬぐえない中国株、グローバル総合指数入りも見送り

S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスは、世界株式指数の「グローバル総合指数」にまだ中国A株を組み入れないことを決めた。

コメントは「中国では市場の利用可能性を改善するためのいくつかの措置が講じられた。ただ外国人投資家にとって最終的な投資環境がどうなるか、なお大きな不透明要素が残っているため、しばらく様子を見る」。

これでロシアとギリシャは引き続き「新興国」。サウジアラビアとパレスチナ、ジンバブエは「スタンドアローン国」。ウクライナは「フロンティア国」から再び「スタンドアローン国」となる。

加えてMSCIは12日に半年ごとの指数見直し結果を公表する予定。やはり中国A株は新興国指数や他のグローバル指数には含めないと予想されているという。

通貨の人民元は何となくIMFのSDRになれそうだが、中国株はまだまだ魑魅魍魎ということなのだろう。

米利上げ問題、世界は理解を示す

もういい加減織り込んだだろうし飽きたというのが本音の米FRBの利上げ問題。それでもあちこち喧しい。

米シカゴ地区連銀のエバンズ総裁「米経済が力強さを増しFRBの利上げに対応できる状態になる日を楽しみにしている」。「FRBと財政当局が協調すれば強い経済が実現できるのではないか」という質問への回答だという。

「楽しみ」と当事者に言われるようでは情けないところもある気がする。

そしてインド準備銀行のラジャン総裁がフランクフルトで語った「FRBが金利を引き上げれば混乱が生じるが、利上げを見送れば悪影響はさらに大きくなる」。

ドイツ連銀のワイトマン総裁も同様の意見。「金融政策に関してあまりに緩和的で緩和期間が長過ぎるとの懸念をわたしも共有する

世界は米利上げに理解を示してきたとのアドバルーン。対米従属的な日本はどうするのだろうか。

【関連】「郵政3社は最強の仕手株だ」ある情報筋との会食、本尊は日本政府?

「兜町カタリスト」』(2015年11月11日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

無料メルマガ好評配信中

「兜町カタリスト」

[無料 ほぼ 平日刊]
個人投資家のみならず、マーケットのプロからも注目を集めてきたメルマガ櫻井英明責任編集「兜町カタリスト」。前場・後場の1日2回無料配信。マーケットのど真ん中からとっておきの情報を発信します。カタリストとは英語で「触媒」のこと。マーケットの動きを的確に知る触媒として、新たな情報ソースとして、ぜひご活用ください。

いま読まれてます

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

MONEY VOICEの最新情報をお届けします。

この記事が気に入ったらXでMONEY VOICEをフォロー