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【展望】好業績株の選別物色へ。日銀会合、7-9月期GDP、FOMC議事録も=山本伸一

決算シーズンは一段落。実際の業績と市場コンセンサスの乖離に振り回されていた相場も落ち着き、ここからは好業績株が選別的に物色される局面となりそうです。国内では16日(月)に7-9月期四半期GDP(速報値)の発表、19日(木)に日銀金融政策決定会合、海外では18日(水)に10月のFOMC議事録の公表など、注目の金融イベントも控えています。そんな11月16日週の展望と前週の振り返りを『プロの視点。今、乗るべき銘柄が見えてくる。』を配信する株式評論家・山本伸一さんが解説します。

決算は一段落、金融イベントをにらみ市場は選別物色の動きへ

まずはこの1週間(11月9日週)の相場動向を振り返り

11月9日週の株式相場は、次第に買い気を強めていた前週の流れから、月曜日も買い進まれる展開。火曜日は利益確定売りが先行したものの、押し目買いを集めると、水曜日、木曜日も堅調推移に。金曜日には利益確定売りに押されたものの、概ね底堅く推移しています。

日経平均株価は、先週末の1万9200円台から、月曜日には1万9600円台まで上昇。火曜日には1万9600円台を固めると、木曜日まで1万9700円台を試す動き。金曜日には1万9400円台を割り込む場面があったものの、日経平均終値は1万9596.91円と節目1万9500円台での着地となりました。

日経平均株価チャート 2015年11月13日終値

日経平均株価チャート 2015年11月13日終値

その前の週が、祝日休場明けの大型IPOの好スタートもあり、堅調なドル円相場ともに買い優勢の展開。米国市場で注目された10月の米雇用統計で非農業部門雇用者数が前月比27万1000人増となり、市場予想の上限を超過。賃金の伸びが加速し、失業率も5%に低下するなど、申し分ない好内容だったことも追い風となりました。利上げ観測の高まりでドル高・円安が見られたあと、米国株式も雇用環境を好感する流れで米国市場も株高で反応。外部要因進展とともに東京市場も買い気を強め、8月後半の相場急落局面以来の水準となっていた日経平均株価も上値追いを強めました。

ただ、米国株下落、円安一服の外部要因軟化を受けて火曜日には利益確定売りが先行。それでも押し目買い意欲の高まりから株価指数は続伸着地を果たしています。

為替相場に円買い圧力が見られたものの、押し目買い意欲の高さから水曜日も堅調展開。木曜日も買い気が続き、日経平均株価は7日続伸を記録するなど、決算シーズン後半による需給改善効果などから、値固め進展とともに上値追いが続きました。

しかし、木曜日の米国市場が商品相場調整で大幅安。為替相場もドルが弱含んでおり、金曜日には売り優勢の展開に。ただ、日経平均株価は1万9400円割れから下げ渋る動きを見せるなど、押し目買い意欲の高い状況が続いています。

値動きが激しかった個別銘柄をおさらい

今週を振り返ると、米雇用統計確認後の利上げ観測の高まりを追い風にメガバンクの三菱UFJFG<8306>三井住友FG<8316>みずほFG<8411>が上昇。指数レバレッジEFFの日経レバレッジETF<1570>も買い進まれる場面が見られました。

三菱UFJFG<8306> 日足(SBI証券提供)

三菱UFJFG<8306> 日足(SBI証券提供)

三井住友FG<8316>日足(SBI証券提供)

三井住友FG<8316>日足(SBI証券提供)

みずほFG<8411>日足(SBI証券提供)

みずほFG<8411>日足(SBI証券提供)

日経レバレッジETF<1570>日足(SBI証券提供)

日経レバレッジETF<1570>日足(SBI証券提供)

指数軟化局面では大型IPOの日本郵政<6178>、ゆうちょ銀行<7182>、かんぽ生命<7181>への資金還流も働いています。

週を通して強かったのは、やはりメガバンクの三菱UFJFG<8306>、三井住友FG<8316>、みずほFG<8411>、直近開示の村田製作所<6981>のほか、東京海上ホールディングス<8766>、第一生命<8750>、MS&AD<8725>の保険、HOYA<7741>、オリンパス<7733>、テルモ<4543>の精密機械の上昇が目立っています。

なかでも、日経平均構成銘柄では、11月6日引け後に決算発表を行ったオリンパス<7733>は第2四半期決算で営業利益が501億円と従来予想の450億円を上回る着地となり、市場予想では計画未達の可能性も出ていたことから、ポジティブサプライズと受け止められ、全市場の売買代金上位に進出するとともにストップ高まで買い進まれる場面もありました。

オリンパス<7733>日足(SBI証券提供)

オリンパス<7733>日足(SBI証券提供)

また、6日引け後に決算発表を行ったNTT<9432>も第2四半期決算で営業増益となり、上期では5年ぶりに増益を達成したほか、通期業績予想の増額修正を発表したことが好感されて買われました。日本郵政<6178>ら郵政3社が調整する場面では、旧公社銘柄として資金シフトも働いたようです。

一方、東芝<6502>は、6日引け後に発表した第2四半期決算では営業損益が905億円の赤字着地となり、事前の観測報道通りの内容となったものの、期待された通期業績予想を開示せず、先行き不透明感を嫌気して大幅安に。

不正会計問題に絡んで個人株主を中心とした集団訴訟が報じられたほか、傘下の米原子力事業子会社ウェスチングハウス・エレクトリック(WH)の減損損失が明るみに出ており、原子力ビジネスの先行き不安や同社業績も押し下げるとの見方が投げを誘っています。

東芝<6502>日足(SBI証券提供)

東芝<6502>日足(SBI証券提供)

その他の日経平均構成銘柄では、電通<4324>も大幅安。11日引け後に発表した第2四半期決算は増収増益着地を果たしたものの、市場予想に届かなかったことから決算売りに。ゴールドマン・サックス証券が投資判断を「買い」から「中立」に引き下げたことも見切り売りにつながりました。

電通<4324>日足(SBI証券提供)

電通<4324>日足(SBI証券提供)

コンテンツ関連では、コロプラ<3668>が、11日引け後に発表した本決算が事前予想を超過、続く今期業績予想も市場コンセンサスを上回り、ポジティブサプライズと受け止められて急伸。全市場の売買代金上位にも進出、短期資金流入が確認されました。

また、同業のクルーズ<2138>も11月9日引け後に発表した第2四半期決算では大幅減益を記録したものの、売上高では四半期最高を記録、前四半期からも利益成長が確認されており、アク抜けから全市場の売買代金上位にも進出するなど、決算内容が高く評価されています。

決算銘柄ではテレビ朝日<9409>、丸井グループ<8252>、アルバック<6728>、増額のヤマハ発動機<7272>、長谷工<1808>、凸版印刷<7911>、日本写真印刷<7915>などが物色されましたが、減額修正発表のアシックス<7936>などは売り込まれており、ネガティブサプライズが目立った格好になりました。

アシックス<7936>日足(SBI証券提供)

アシックス<7936>日足(SBI証券提供)

新興市場では、AppBank<6177>、ブランジスタ<6176>、ジグソー<3914>、フューチャーベンチャー<8462>らが好調。特にAppBank<6177>は、12日引け後に発表した第3四半期決算で営業収益以下が通期業績予想を超過しており、好決算を評価した買いを集め、全市場の売買代金上位に進出しました。

ただ、予想される費用負担などから増額修正を見送った経緯もあり、買い一巡後は伸び悩む場面も見られています。

【海外動向】12月米利上げ予想は約7割、織り込み始めた東京市場

さて、米国ではニューヨーク連銀のダドリー総裁、セントルイス連銀のブラード総裁、シカゴ連銀のエバンス総裁ら中銀要人筋から利上げ示唆の発言が聞かれたことで、利上げ観測の高まりとともに商品相場が調整、米国株安に見舞われました。

11月13日時点でのシカゴ・マーカンタイル取引所(CME)のFedWatchでも、12月のFFレートの予測は0.25の現状維持が30.3%に対して、0.50と0.25からの利上げを予測する向きが69.8%に上昇。利上げがいよいよ現実的となってきました。

複数の連銀総裁による利上げ示唆に米国株は株安で反応しましたが、東京市場でも寄り付きの11月限オプションSQ値(1万9496.87円)が安値算出となり、ここ連日で見られていた押し目買い意欲の残るなか、日中推移には買い気も感じられる内容。

日経平均株価は8営業日ぶり反落し、5日移動平均線(1万9660.01円)を割り込んできましが、終値は11月限SQ値を上回る格好となり、ローソク足も連日の下ヒゲ陽線。

日経平均株価 日足(SBI証券提供)

日経平均株価 日足(SBI証券提供)

市場のセンチメントは悪くありません。むしろ、東京市場は次第に米国の12月利上げを織り込み始めていると言ってもいいでしょう。

Next: 【展望】7-9月期GDPの注意点ほか金融イベント|市場は選別物色相場へ

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