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【展望】テロ影響は軽微!米年末商戦に注目し打診売買でリスク限定を=山本伸一

テロの影響も懸念された前週の東京株式市場は、欧州市場の落ち着きにより堅調に推移しました。次週の米国市場では26日(木)に感謝祭、27日(金)にブラック・フライデー、さらに翌週月曜にはサイバー・マンデーと、米小売の年末商戦を見極める上で重要なイベントが盛りだくさん。そんな11月23日週の展望と前週の振り返りを『プロの視点。今、乗るべき銘柄が見えてくる。』を配信する株式評論家・山本伸一さんが解説します。

テロ影響は限定的。ここからのセールシーズンは打診売買で対応を

まずはこの1週間(11月16日週)の相場動向を振り返り

今週の株式相場は、概ね底堅く推移していた先週の流れから、月曜日には調整に見舞われたものの、火曜日に買い直されると、水曜日は買い先行から伸び悩み。木曜日は再び買い気を強めたあと、金曜日に利益確定売りが出ましたが、買い優勢の流れは続いています。

日経平均株価は、先週末の1万9500円台から、月曜日には1万9300円台を割り込む場面が見られたものの、火曜日には1万9600円台まで上昇。水曜日も1万9600円台を固め、木曜日には1万9900円台まで上値を伸ばしたあと、金曜日は1万9800円台で推移するなど、週初の調整を埋めたあと底堅い動きとなりました。

日経平均株価チャート 2015年11月20日終値

日経平均株価チャート 2015年11月20日終値

今週の株式市場では、先週末に発生したパリ同時多発テロで少なくとも129人の死亡が判明。経済活動への影響が懸念され、週明けの主要国としてはいち早く反応する東京市場の特徴から、リスク回避姿勢を強めましたが、月曜の欧州市場のフランス市場ほか欧州市場が落ち着いた反応を見せたことで影響は限定的との見方が強まり、見直し買いを集めました。

ただ、19日木曜に日銀金融政策決定会合の政策声明発表を控え、予想下振れのGDP結果や外部要因の推移を含めて、再び金融政策睨みの状況で上値追いには慎重ムード。

17日火曜夜の米国市場も10月の消費者物価指数は食品と燃料を除くベースで前月から上昇し、株価も続伸着地ながら欧州サッカーの親善試合延期などテロ警戒が燻る格好。

18日水曜の東京市場でも航空機爆破予告、パリ北部での銃撃報道などが伝わり、後場にはリスク回避の円高推移とともに伸び悩みました。

米国市場では10月の米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事録が公開され、早ければ12月に利上げを開始しても経済は乗り切れる力があると示唆。

さらに利上げのペースが漸進的なものになることも強調されており、利上げ観測が高まりましたが、堅調な経済活動や漸進的な利上げペースの意向も明らかとなり、政策意向確認とともに買いが優勢となる展開に。

19日木曜の東京株式市場でも米国株の上昇着地や円安推移を好感した買いが先行。午後に伝わった日銀金融政策決定会合の政策声明は現状維持。大方の予想通りとなりましたが、前回会合と同様に一部緩和期待の向きの失望売りも見られたものの、材料消化とともに押し目買いで持ち直しました。

ただ、木曜日の米国市場は利益確定売りで軟調。為替相場でもドル売りが見られており、連日買い進まれていた東京市場も20日金曜には利益確定売りが優勢。それでも押し目買いが下支え、大引け前には切り返し、日経平均株価は1万9879.81円で今週の取引を終えています。

値動きが激しかった個別銘柄をおさらい

個別銘柄では、株価指数が続伸する場面では、外需関連のトヨタ<7203>ホンダ<7261>ソニー<6758>のほか、金融イベント通過で三菱UFJFG<8301>みずほFG<8411>のメガバンクも続伸。

ファーストリテイリング<9983>、ファナック<6954>、キーエンス<6861>などの値がさ株が物色され、大型IPOの日本郵政<6178>なども物色される場面がありました。

決算シーズン一段落で今後の事業見通しや証券会社の格付け、レーティングなどが株価に影響を及ぼしています。日経平均構成銘柄では、シャープ<6753>が大幅続伸。

シャープ<6753> 日足(SBI証券提供)

シャープ<6753> 日足(SBI証券提供)

テレビ事業統括の小谷健一執行役員が同事業全体の営業損益が2017年3月期に黒字になるとの見通しと報じられたことが見直し買いにつながっています。日証金が20日約定分から貸借取引の申し込み停止措置を実施し、新規売りに伴う貸し株申し込みが停止されたことも支援材料となったようです。

証券会社の格付け、目標株価の変更で明治ホールディングス<2269>も上昇。JPモルガン証券が目標株価を11,000円から12,500円に、バークレイズ証券が10,400円から11,200円にそれぞれ引き上げ、野村證券でも「利益重視の経営姿勢に緩みは見えない」と評価したことが買いを呼び込んでいます。

明治ホールディングス<2269> 日足(SBI証券提供)

明治ホールディングス<2269> 日足(SBI証券提供)

富士通<6702>もSMBC日興証券が目標株価を680円から730円に引き上げたことが買い材料視され上伸。また、同社と理化学研究所が共同で開発したスーパーコンピュータ「京」が性能ランキングで2期連続の世界1位となり、シンガポールで4520万シンガポールドル(約39億円)の設備構築を受注したとの報道も物色を集めています。

富士通<6702> 日足(SBI証券提供)

富士通<6702> 日足(SBI証券提供)

クレディ・スイス証券が投資判断「アウトパフォーム」を継続し、目標株価を13,000円から14,500円に引き上げたコーセー<4922>も上昇しました。

コーセー<4922>日足(SBI証券提供)

コーセー<4922>日足(SBI証券提供)

また、20日金曜日は医薬品株も好調。一部報道で厚労省と財務省が市販薬を一定以上買った場合、所得税の支払いを減らすことができる新たな制度を設ける方針と伝わり大正製薬HD<4581>、小野薬品工業<4528>などが大衆薬メーカーとして物色を集めて切り返しています。

個別材料株ではバイオ関連銘柄の物色が継続。新規医薬品候補低分子化合物(TOPK阻害剤)が米国立がん研究所の化合物評価プログラムに採択されたとの発表が刺激材料となったオンコセラピー・サイエンス<4564>。

また、慢性閉塞性肺疾患治療薬「NVA237」の供与先であるノバルティスが、NVA237含有の「ウルティブロ」の第3相臨床試験が良好な結果で終了したと発表したそーせいグループ<4565>が、材料性で個別に物色されました。

新興市場ではメディア工房<3815>、スノーピーク<7816>、アクセルマーク<3624>、ラクーン<3031>、フューチャーベンチャーキャピタル<8462>、アイサンテクノロジー<4667>、USEN<4842>らが値上がり率上位に進出。

半面、信用規制強化でブランジスタ<6176>などが売られました。19日に東証マザーズに新規上場したあんしん保証<7183>は初日は買い気配で初値付かずでしたが、金曜日は換金売りに押されてストップ安まで売り込まれました。ただ同じく19日上場のロゼッタ<6182>は気配値上限の買い気配(初値付かず)で取引を終えています。

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