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2期連続マイナス成長が意味するもの~現政権の景気判断は“政治色”強く=山崎和邦

GDP2期連続マイナスは、海外から見れば客観的に景気後退である

内閣府発表で四半期別GDPが2期連続マイナスとなった。GDP実質年率では0.8%減になった。これは海外からは自動的に「景気後退」と見なされる。

日本でも経企庁が独立官庁の時はそうだったが、内閣府のなかに吸収されてからウヤムヤになってしまった。「総合的に判断する」としている。

企業は過去最高の利益額(率も)にも拘らず設備投資を抑制した。設備投資はGDP構成の4要素の中で消費の60%に次ぐ20%を占める重要要素だ。これが前期比1.3%減となった。中国景気の不透明感が夏場から高まり、それが設備投資計画を先送りさせている。

このことがGDP2期連続マイナス(昔なら機械的に「景気後退」と経企庁が宣言した)の主因だったと思う。企業は今年度は高水準の設備投資を計画していたが、実際には動かなかった。

旧経企庁は戦後に経済安定本部(あんぽん)として誕生し、GHQと同等くらいの権威を持ち、且つ、天下の当代一級のエコノミストが集結する官庁の中の官庁であった。そこから経済企画庁が生まれた。

経企庁が毎夏に出す「経済白書」は官庁エコノミスト畢生の力作で毎夏の経済書のベストセラーだったし、そこから経済用語や新語が生まれたものだった。

都留重人氏監修のものは「国も赤字、企業も赤字、家計も赤字」のフレーズが有名になった。

その後1956年(昭和31年)7月に発表された経済白書は調査課長であったエコノミスト後藤誉之助氏の監修で、副題が「日本経済の成長と近代化」。その結語には、太平洋戦争
後の日本の復興が終了したことを指して「もはや『戦後』ではない」と記述され流行語にもなった。

また、60年代後半には「踊り場景気」「景気の陰り」という新語が「白書」から生まれて流行った。現にそれは57ヶ月続いた史上最長の「いざなぎ景気」の途上の「踊り場」であった。

景気循環のそれぞれで、神武天皇以来の好景気だから「神武景気」とか、それを抜いて神話の天岩戸以来だから「岩戸景気」といった名称をつけた。

それを超え史上最長になった景気拡大局面では、神話の時代を遡って「イザナギノミコト」以来だから「いざなぎ景気」(57ヶ月)などと愛称をつけ、戦後十数回の景気循環の新鮮さを都度々々演出した。これみな経済企画庁の業だった。

ところで「10-12月期は1.1%増」と民間の10社の民間エコノミスト18人の予測が出ている。日本経済新聞がまとめているものを要約すると10社の中で最高はSMBC日興の+2.1%、野村+1.7%、三菱+1.7%、一番下がバークレイズ証券+0.6%という具合である。平均すると+1.1%で小幅ながらプラス成長となる。

Next: 悪いことが言えない内閣府?ゼミの友人との「政府の景気判断」に関する交信

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