もはや公然の事実、イスラエルの「イスラム国」支援
このメルマガではかなり以前からイスラムによる「イスラム国」支援の実態を詳しく紹介してきた。この状況を改めて確認して見よう。
国連兵力引き離し監視軍(UNDOF)の正式な報告書も指摘
イスラエルが「イスラム国」を支援しているとの情報は、あらゆる方面からもたらされている。そのひとつは昨年末に国連が発表した報告書だ。
この報告書には、イスラエル軍が「イスラム国」の戦闘員の救護を行っている様子が詳しく書かれている。これは、シリアとイスラエルの国境にあるゴラン高原に展開している「国連兵力引き離し監視軍(UNDOF)」が国連安全保障理事会に提出した活動報告書だ。
ちなみにゴラン高原は、もともとシリアに帰属していたが、1967年の第3次中東戦争でイスラエルの占領地となった。このためシリア側の国境沿いには、シリア軍が展開している。国連は1974年以来、両軍を引き離し、衝突を回避するための「国連兵力引き離し監視軍(UNDOF)」を駐留させている。この報告書はこの組織の活動報告である。
この報告書によると、過去18カ月間、イスラエル軍とシリアの反政府武装勢力との間に交流が見られ、反政府武装勢力には「イスラム国」も含まれるとしている。
さらにイスラエル軍は、ゴラン高原のシリア国境に300棟のテント村を建て、シリア内戦から逃れてきたシリアの民間人を収容し、ゴラン病院に送って治療している。
しかし治療の対象は、シリアの民間人には限られていないと報告書にはある。「イスラム国」の戦闘員も治療対象に含まれており、イスラエル軍の管理する医療施設で治療を受けているという。
これは、国連の正式な組織の「国連兵力引き離し監視軍」が、国連安全保障理事会に提出した正式な報告書に記載されている内容である。ソースが不明の情報ではない。イスラエル軍が「イスラム国」を支援している事実は、もはや公然と公表されているのだ。
次の軍事目標はエジプト。イスラエル軍が「イスラム国」を訓練
イスラエル軍が「イスラム国」を支援している証拠は枚挙に暇がないほどである。支援の事実を示すもっと直接的な証拠も報道されている。
いま「イスラム国」ともっとも激しい戦闘を展開しているのは、空爆を実施しているロシア、そして地上部隊では、シリア政府軍とイランの軍事組織である。
スンニー派の「イスラム国」は、イランの影響下にあるシーア派の武装勢力を最大の敵だと考えている。一方、これに対するシーア派は、イランの「革命防衛隊」と「義勇軍大隊」、そしてイランの支配下にあるシーア派原理主義組織「ヒズボッラー」がシリアで「イスラム国」と激しい戦闘を行っている。
このような状況のため、「イスラム国」と最前線で対峙しているイランは、「イスラム国」の情報を入手しやすい立場にあるはずだ。イランのオンライン英字新聞「FARSニュース」などでは日本や欧米では伝えられることのない事実が報道されている。
「FARSニュース」は、イラク議会のワッハーブ・アル・タイイー議員の話として、エジプト国境近くのシナイ半島に駐留するイスラエル軍の精鋭部隊「ゴラニ歩兵大隊」が、「イスラム国」の幹部や司令官に軍事訓練を行っていると伝えた。
これは、「イスラム国」の軍事目標の変化に合わせた対応だとしている。「イスラム国」の次の目標は、エジプトになるという。軍事訓練は、「イスラム国」がエジプトに移動し、エジプト国内で軍事行動を展開するための訓練だとしている。
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