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トランプ過剰接待の効果ゼロ。帰国直後の「日本叩き」で為替条項を強要へ=今市太郎

28日、トランプの帰国を待ち構えていたかのように米財務省「為替報告書」が発表されました。中身は中国を強く意識しているほか「日本叩き」も十分に盛り込まれており、8月を待たずに激しい円高が襲ってきそうな嫌な内容になっています。(『今市太郎の戦略的FX投資』今市太郎)

※本記事は有料メルマガ『今市太郎の戦略的FX投資』2019年5月31日号の抜粋です。興味を持たれた方は、ぜひこの機会にバックナンバー含め初月分無料のお試し購読をどうぞ。

日本に対する指摘は辛辣そのもの。8月前にもドル円は大幅下落か

米財務省発表「為替報告書」に盛り込まれた日本批判

ようやくトランプ訪日のバカ騒ぎも一息ついた月末ですが、28日トランプ帰国のタイミングを待ち構えていたかのように発表されたのが、米財務省の外国為替報告書でした。

これに関しては、国賓として訪日するのに、為替の話が持ち上がらないようにとの配慮からあえて発表を遅らせてくれたという勝手な善意の受け取り方もあるようです。

しかし中身を精読して見ますと、基本的には中国を非常に意識した内容にしてあるのとともに、日本叩きの要素も十分に含んだかなり厳しい内容が記載されています。

このままでいきますと、8月を待たずに激しい円高が襲ってきそうな嫌な内容になっていることがわかります。

監視対象は9か国だが、極めて日本を意識した記述満載

通常、4月に発表されるこの為替報告書。さすがに「令和」の日米会談実施に配慮して、その公開を会談後にしたことは間違いないようです。

しかし、中身はまったく好意的ではありません。安倍首相の過剰とも思われる接待攻勢の成果は、一行たりとも文面に表れていないのが実情です。

監視リストに指定された国は前回の6か国から、今回はイタリアマレーシアなど5か国が追加され、インドとスイスが外れたことから、都合9か国が引き続き監視対象になっています。

当然、日本は常連国としてその中に含まれたままの状態です(※編注:注目されていた中国の為替操作国認定は見送られ、貿易摩擦のさらなる激化は回避される見込みとなっています)。

そもそも「為替操作国」とは、米議会が米財務省が発行する報告書の内容に基づいて為替相場を不当に操作していると認定した国のことを指します。

この為替操作国として認定されるためには、次の3つの条件をクリアしていることが必要と言われます。

  1. 対米商品収支黒字200億ドル超過
  2. 国内総生産(GDP)比3%を超える経常収支黒字
  3. GDP比2%を超える外国為替市場でのドル買い越し

したがって、よほどのことがない限りこの対象国として認定はされないのが現実です。そもそも関税率45%などが実行されることになれば、戦争も必至の状況になりかねないわけですから、簡単には認定されないのが現実です。

ただ、今回この認定基準はかなり厳しくなっており、現在の「対米貿易黒字の200億ドル以上」は据え置かれたものの、「経常収支の黒字額が対国内総生産(GDP)比で3%超」から「2%超へとダウン」しています。

「過去12カ月のネット外貨購入も対GDP比2%超」で据え置かれていますが、継続的な介入と判断する期間はこれまでの8〜12カ月から6〜12カ月に短縮となり、より中国が引っかかりやすい内容に厳格化されていることがわかります。

Next: 日本に対する指摘は辛辣そのもの、為替条項を合意させられる?

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