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波乱の年末年始~NY市場と東京市場の「記録づくし」は何を象徴するか?=山崎和邦

日経新聞年始の20氏アンケートはネガティヴ・インディケーター

9月末~12月高値の上げ幅の黄金分割比が約18,100円。日経新聞年始の著名20氏アンケートによる今年安値の「占い」はこれを通り越して、年初4日間で達成されてオツリが来たことになる。

昨年9月29日、17,000円割れの日、且つ、あと100円で高値から20%下げの日(高値から20%下げはNYダウ創設以来120年間で23回で、これを以て趨勢変化と見なす)、この日から、12月1日の戻り高値20,012円までの上げ幅の黄金分割比が約18,100円となる。これが6日の安値と概ね合致すると思っていた。(20,012-16,961円)×0.618=1,885円。20,012-1,885円≒6日の安値となって概ね符合する。ところが翌7日(木)に再び上海でサーキットブレイカーが掛って日経平均は下げ幅を拡大した。

円安・原油安の効果は計量経済的に見れば国内企業の15年決算だけで10兆円を越えるだろう。大きい。が、これからは全体的にマクロで効いてくることは少なくなる。本稿で嘗てから述べてきた(時価総額÷GDP)の比率が120%に近いし、また(時価総額÷個人現預金)の比率が既に60%を超えている。前者は「バフェット指数」と言われるもので100%を時価総額の過熱圏内、120%を大天井としてきた。既に100%は超えている。

後者は約50年前に筆者が気づいて計測してきたもので、経済学上の「マーシャルのk」(GDP÷マネタリーベース)を(時価総額÷個人現預金)に置き換えて30%前後を大底とし60%前後を大天井としてきたもので、半世紀に8回あったが7回は的中していた(セミナーではグラフで示した)。

こういうマクロの指標で言えば株は買えない時期となる。ところが日経新聞の20氏アンケートでは皆が2万2千円以上を言うし、日経ヴェリタスの64人の市場関係者でも似たことを言う。これらはマクロ指標を敢えて無視してミクロの企業業績向上(PER)、企業価値の向上(PBR)、企業ガバナンスの向上(ただし「社外取締役の増員」は実質的にはあまり意味がないことが多い)等を海外筋が評価するであろうという「期待」である。

相場は期待通りに動くこともあるし動かないこともある。「必ず期待の反対に出る」と実証的検証なしに単に情緒的に言い切る人も多く、そう分かっていればネガティヴ・インディケーターとして機能するが、必ずしもそういう訳ではない。現に安倍内閣発足からは期待通りに日経平均は2.4倍に、円ドル相場は5割高と、まさしく期待通りとなった。

日本市場の大発会は前場のうちに約500円安と、90年の発会を連想させる発会になった。これは何を意味するか、である。日米とも大幅安は、イエレン女史も予定通りの出口戦略は難しいと思ったろう。

正月の20氏のアンケートは、半世紀の慣習を変えて1月3日を元旦に変えた。これによれば今年安値は20人中の15人が18,000円と言う。ということはこの安値は50分の47の確率で「当たらない」ということになる(筆者は50年間、毎年保存して20人の的否を見てきた)。

「安値18,000円は当たらない」となればその下は、強いて言えば9月末の16,961円をW底とする、または、さらに下は強いて言えば15,701円の窓埋めである(2014年10月末の黒田バズーカ砲3の時の急騰の時の窓が15,701円から200円幅である)。

筆者が20氏のアンケートで注目するのはサラリーマン社長でなくオーナー社長だが、今年は日本電産の永守さんしか出てない(前者は企画部とか調査部とかに意見を聞いて無難に答える人が多い。信越化学の金川さんには注目してきたが今年は「人並みな外れ予想」をしていた。

そして普通は「年内最高値は12月」と言うのが常識だが今年は年央が6人居た。7月選挙を意識してのことだろう。

いずれにしても、この20氏のアンケートは50分の47の確率でネガティヴ・インディケーターになる。50年間で1972年と89年とは概ね全員が的中して翌年は大波乱が起きたと既報で述べた。2015年も概ねが的中していたので、今年は高値波乱かと既述した。

【関連】2016年は高値波乱も~「7月参院選にらみ無策ではあり得ない安倍政権」=山崎和邦

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