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日経平均は足元、底値圏に達したのか?~「理論株価」最新データ分析=日暮昭

下図は昨年8月からの日経平均と理論株価のかい離率を日次ベースで示したものです。

かい離率の推移(日次ベース)―2015.8.3~2016.1.22―

かい離率の推移(日次ベース)―2015.8.3~2016.1.22―

図で、青色の線がかい離率を示しています。

中央の黒い横線が2014年1月からのかい離率の平均を示します。結果はマイナス0.4%とほぼゼロで、これは、この期間においてかい離率はプラス、マイナスで振れながら結果的にトータルでは元のサヤ、すなわち理論株価に戻っていることを示しています。

緑色の線は同期間の平均的な変動範囲、すなわち通常の変動範囲を示しており、上側は4.36%、下側はマイナス5.16%となっています。つまり、かい離率がこの間にあるときは、相場は通常の変動範囲内であるのであえて売り買いの投資行動に出る必要はない、と言えます。

そして赤色の線が変動範囲の限界を示します。これは平均変動の2倍の変動の範囲をとったもので、統計学の面からこの範囲を超える変動は5%以下とされる水準で、この基準を限界として採用しました。

かい離率の上限は9.12%、下限はマイナス9.92%となります。大づかみに、上、下のどちらでもかい離率が10%を超えると相場は通常の範囲とみなせる範囲を逸脱する、すなわち反転の注意領域に入ると想定される事になります。

最近では昨年8月からの相場急落時に9月29日にかい離率がマイナス11.9%とこの限界を越しその直後に反発しました。

この枠組みの中で年初からの急落局面を見ると、1月21日にかい離率はマイナス13%と下限を大きく超え、直後の22日に大幅に反発して注意領域を脱しました。

下図はこうしたかい離率の推移を日経平均ベースに引き直して示したものです。

日経平均と変動の限界(日次ベース)―2015.8.3~2016.1.22―

日経平均と変動の限界(日次ベース)―2015.8.3~2016.1.22―

青色の線が日経平均、緑色の線が通常の変動範囲、赤色の線が相場反転につながる変動の限界を示しています。日経平均は昨年の9月29日と今年の1月21日にこの赤線の下限を下回った直後に反発していることが分かります。

今後、株式相場はこれまでの経験則にしたがって足元、底値圏に達したと見られるのか、あるいは原油価格下落、米国の金利上げ、中国経済の減速など多くの不安定要素によってリスク回避が浸透、一段の下落局面に入るのか予断は許せませんが、ここで紹介しました統計学に基礎を置いた相場評価の手法は、相場の方向感がつかみみづらい局面では投資判断をするひとつの材料になるものと思われます。ご参考にしていただければ幸いです。

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投資の視点』(2016年1月25日号)より一部抜粋

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