“21世の妖怪”ヘッジファンドが自作自演する先物主導相場
彼らは米金利を上げたという事実は米景気が良くなったということをFRBが公認したからだと採らず、途上国の資金が引き揚げられるという一方をのみ凝視(するふりを)して、「今後は景気を壊さないように利上げの回数を減らすということ」を「米景気の今後は危ない」という方に拡大鏡を使って市場のコンセンサスを作出しようとしている。
本来は市場という生き物が自らの生理で動くのだが、今は、明らかに欧米のヘッジファンドがレバレッジをフルに効かせて株価を乱高下させ、ボラティリティを上げたいのだ。
彼らにとって最も困ることは値動きが止まって静かな相場になることである。上にでも下にでも大きく動いてくれれば利益を生むのだ。そのために1つの材料を上方方向か下方方向かに都合よく使いたがる。
1848年、マルクス・エンゲルの「共産党宣言」の冒頭は「欧州の天地に1個の怪物徘徊する。それは共産主義革命だ」から始まるが、21世紀の株式為替市場は「市場に一個の妖怪徘徊する。それはヘッジファンドなる名の妖怪だ。そしてその妖怪は乱を好む。彼は乱なくば生きられず」となるであろう。
そして「共産党宣言」の締めくくりは「世界のブルジョアジーを共産主義革命の前に震撼せしめよ。万国のプロレタリアート団結せよ」で終わるが、21世初頭の市場史は「世界のヘッジファンドよ、日本市場で大いに稼げ。日本市場は純情だ。この純情派をヘッジファンドの前に震撼せしめよ。さすれば彼らは大いに慌てて売りまくるから荒稼ぎは容易である」というところであろう。
彼らの活動する市場は常に大事件を欲している。この手に慌てて乗ることはない。