アメリカに追い詰められる安倍政権 オバマの逆鱗に触れた日本の独自外交=高島康司

「国連女子差別撤廃委員会」の勧告と、安倍政権の反論

さらにこの安倍政権を批判する流れは、3月7日に「国連女子差別撤廃委員会」が公表した日本への勧告で勢いづいた。ちなみにこれは、1979年に「国連女子差別撤廃条約」を批准した各国で、この条約がどのように実行されているか審査し、不足や不備があれば勧告を行うために設置された委員会だ。

2009年に日本には「ビデオゲームとマンガが禁止すべき児童ポルノと児童売春にあたる」として是正勧告がなされ、また2011年には「選択的夫婦別姓制度導入」の勧告などがなされたことはあるが、日本が集中的な勧告の対象となったことはなかった。しかしながら今年は、以下の項目で日本には踏み込んだ是正が求められた

  1. 元従軍慰安婦への配慮が不十分との勧告
  2. 女子高生ビジネスの禁止勧告
  3. 後に撤回されたが、男系男子の皇位継承を「女性差別」と批判し、皇室典範の見直しを要求
  4. 元従軍慰安婦、国連・潘基文事務総長と面会

こうした勧告に対し、菅官房長官は「従軍慰安婦の強制性を示す文書は発見されていない」とした上で「慰安婦問題については最終的かつ不可逆的に解決されたことを日韓の外務大臣で合意し、日韓両首脳が確認した」と指摘した。そして、「国連事務総長をはじめ、米国、英国なども歓迎している」と反論した。同様の内容の反論は、自民党内部からも相次いで出されている。

しかし、こうした反論はすぐさま海外メディアに取り上げられ、「いまだに過去の歴史を反省せず、なかったことにしようとしている」として安倍政権を非難する論説が相次いでいる。これは、勧告に反論すればするほど逆に非難されるという悪循環だ。

偶然の一致を越えた意味

「女子差別撤廃委員会」は「国連人権理事会」が設置した国際機関であり、アメリカ政府や、ワシントンポストのようなその影響下にあるメディアとは関係はない。ワシントンポスト紙の社説と「女子差別撤廃委員会」による日本に対する踏み込んだ是正勧告が同じ時期に出されたことは、単なる偶然の一致に過ぎないのかもしれない。

しかし、米政府は目的実現のためにはあらゆる手段を駆使して圧力をかけてくる存在であることに留意しなければならない。

例えば今年の1月1日に配信した第361回の記事で詳しく解説したように、2014年10月3日にジャパンハンドラーが結集するシンクタンク、「CSIS」から「安倍の危険な愛国主義」という論文を発表され、韓国との間で従軍慰安婦問題を即刻解決すべきことを強い調子で要求した。その後もあらゆる手段で圧力をかけ、2015年12月3日には外交誌『フォーリン・アフェアーズ』が慰安婦問題の年内解決を迫るような内容の論文を掲載した。
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これが米政府からの圧力であることは言うまでもない。安倍政権はこうした圧力に応じて即座に動き、韓国との間で従軍慰安婦問題の不可逆的な解決に至ったことは記憶に新しい。

ところが、ワシントンポスト紙の社説にはオバマ政権の強い意向で書かれたことは間違いないとしても、「女子差別撤廃委員会」の日本に対する勧告にまでオバマ政権の意向が反映されていることを示す十分な証拠はない。

しかし、そのようなことを疑ってしかるべき、合理的な根拠となるような事態が背後で進行しているのだ。つまり、安倍政権を追い詰めて方針の変更を迫り、もし変更が不可能となれば政権そのものを葬り去る流れである。

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