マーケットの信認を失った黒田日銀
散々追加緩和に消極的な発言を繰り返していた黒田氏が昨年12月にまたもや市場を騙まし討ちにしと思いきや、1月会合でも再度ダマシ討ちですが、その結果とうとうマーケットから信認を失ってしまいました。
1月末の日銀政策決定会合で日銀では初めてとなるマイナス金利を導入して、しかも、その後も黒田氏は様々な機会を利用して、必要ならさらなる緩和もあると言い続けていますが全く効果がありません。日銀のマイナス金利導入をあざ笑うかのように、直後から急激な円高になりました。
直後から「必要なら更なる緩和も躊躇なく」と発言していますが、今までの行動から完全に信頼されなくなってしまいました。決まった日程でしか会合が開けない以上、日ごろの発言の信頼性が極めて重要なのに、黒田氏は完全に信頼されなくなってしまったのです。
加えて、上海G20で日本が通貨安政策の国としてやり玉に挙がってしまいましたので、外部からも追加緩和を封じられたのです。
通貨安政策の回避は、アベノミクスの第1の矢である「積極的な金融政策」ができないことを意味します。ETF買い入れ、付利撤廃、マイナス金利、国債買い入れなど追加緩和の手段は様々ありますが、通貨安に結びつくと思われているのは国債買い入れのみです。
G20の決定は約束だけで実際に圧力がかかるものではないと思うかもしれませんが、先週、米国は昨年から通貨安誘導発言をする国に圧力を掛けていたのが判明しました。
実際、3月の日銀政策決定会合は多少は期待されましたが、結果はノーアクションでした。
外圧だけでなく、物理的にもマイナス金利幅拡大などが困難と思われる兆候がすでに出てきました。
また、安倍首相は今春のベアが不満だと漏らしましたが、平均賃上げ率は日銀のインフレターゲット以上なので、早期の追加緩和の必要性はありません。
外圧、物理的な弊害、賃上げもインフレターゲット以上とそろい踏みした以上、当面日銀は追加緩和をする必要はないでしょう。
また、黒田氏の信認が失われてしまったので、追加緩和期待が醸成されることもないと思います。
発言の重みや信頼性がなくなった以上、当面日銀発のニュースは気にする必要もなくなります。従って、4月の日銀政策決定会合直前まで日銀のことは気にすることはありません。
それよりも、今週の中央銀行関係のイベントでは、FOMCメンバーの4月利上げに対する発言が最も重要になります。
『元ヘッジファンドE氏の投資情報』(2016年3月28日号)より一部抜粋、再構成
※太字はMONEY VOICE編集部による
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