総務省が4月を目処に有識者会議を立ち上げ、NHKの受信料制度を見直す議論がスタートさせるが、テレビの有無に関わらず全世帯が受信料を負担する方式や、徴収対象の機器をスマートフォンやタブレットにまで広げる方式を視野に入れていることを日本経済新聞が報じ、批判が続出している。「デジタル時代に合わせた議論を行う」ということだが、多くの国民は「時代に逆行している」という見方をしているようだ。
2割弱の世帯が不払いで、未契約者の訪問など徴収に年800億円かかる――。ネット配信も始まったNHKの受信料制度を見直す議論が始まります。テレビの有無にかかわらず全世帯が負担する仕組みも検討します。https://t.co/cvnxW1o7c5
— 日本経済新聞 電子版 (@nikkei) March 4, 2020
日本経済新聞によると、2019年の放送法の改定でNHKの全ての番組のネット同時配信が認められたため、有識者会議でテレビを持つ世代だけが支払う今の仕組みの課題と改革の論点が整理される。
今の放送法では、テレビがない世帯はNHKと受信契約を結べないが、今後スマホやタブレットの視聴が広がることが考えられるため、受信料制度の見直しが必要だ。また現在、未契約世帯への訪問などの徴収に年773億円もの費用を要していることも課題の一つになっており、改革が求められている。
総務省内には「費用を抑えられる全世帯負担が理想」という声があるようだが、これについてネットから反発が上がっている。「テレビの有無に関わらず全世帯から徴収するのなら税金と変わらない」「何?これ税金?」「もうこれNHK税だろ」などと、「税金とどう違うのか」という疑問の声や、他国と比べても高額すぎる徴収費とその仕組みについての批判、組織体系や職員の給与、経費等についての疑念の声も多い(NHK「職員の給与等の支給の基準」によると、2019年度の大卒職員のモデル年収は30歳531万円、35歳665万年)。
「NHKへの信頼がなきゃ受信料なんてなおさら払えない」「なぜ反感を買うようなことしかしないのだろう」「気持ちよく払える仕組みにしてほしい」と総務省やNHKに対する不信感も根強い。
「NHKも即刻改革せよ」の声一色。BBCを受信料制から課金制にする英政権改革案受けてでも伝えたが、世界ではイギリスのジョンソン首相が「テレビ保有者全員がBBCに払う仕組みをいつまで正当化できるのか」と述べ、公共放送BBCの受信料制度を廃止し、課金制に移行することを検討している。「デジタル時代に合わせた議論」の向かう先がまるで正反対だ。
人々の情報獲得ツールが多様化する時代において、全世帯負担を打ち出すのであれば、NHKの役割や組織体系、職員の給与その他を国民が納得する方向に近づけ、理解してもらえるだけの材料をまずは揃えることが先決だろう。間違っても強制的に全世帯負担の方向には持っていってはならない。
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