日本農業新聞は、自民党が検討している新型コロナウイルス感染拡大で打撃を受けた農業分野における経済対策として、インバウンドの減少や外食の自粛で需要が激減した和牛などの消費を促すための用途を限定した「商品券」を発行する案が検討されていることを伝えた。
和牛振興を含む対策案は26日にも農林部会が取りまとめ、政府に提言。安倍首相は27日に予定される2020年度予算案の成立後、経済対策の財源となる補正予算案の編成を指示する見通しであるという。
また、地方の観光業への支援のため、政府が新型コロナウイルスの感染拡大終息後に高速道路の無料化を検討していることを産経新聞が報じた。無料化の期間などの詳細については今後詰めていくが、政府は東日本高速道路(NEXCO東日本)など高速道路各社への財政措置も検討しており、すでに打診を始めているとしている。
これに対しネットでは、「今日、食べるものさえ無いのに和牛商品券もらってどこで食べろと?車もなく電車通勤なのに高速道路を無料化して誰が走る?」「今苦しんでる人が和牛の商品券や高速無料化で助かるわけがないって小学生でもわかると思う」「商品券だ、和牛だ、という発想になるのが理解できない」などと批判の声があがっている。
メンタリストDaiGoは「何が不要不急って、和牛の商品券を出すか検討することがなによりも不要不急だよなぁ…」と政府を皮肉り、茂木健一郎も「特定の行動に国民を導こうという旅行券や和牛商品券の発行という発想の根本的貧困」と苦言を呈している。
何が不要不急って、和牛の商品券を出すか検討することがなによりも不要不急だよなぁ…
— メンタリストDaiGo (@Mentalist_DaiGo) March 25, 2020
一人ひとりの人生の状況なんて、霞が関に把握できるはずがない。特定の行動に国民を導こうという旅行券や和牛商品券の発行という発想の根本的貧困。自分たちが何が国民経済にとって利益なのか知っているという知的怠慢さと傲慢さ。多様で自由闊達な選択が全体として集合知になるという発想がない。
— 茂木健一郎 (@kenichiromogi) March 25, 2020
また、「何かしら利権に絡めたいっていう意地の悪さが透けててどうしようもない」「安倍政権っていうのは何かの利権と重ねないと何もできないの?」などと、外食や旅行代金の一部助成案と同様(参考:「外食・旅行代金を一部助成」なぜこの時期に?ズレた政府案に“二階氏の利権”疑う声)、自民党議員らが自らの利権団体を優遇しようとしているのではないかと訝しがる声も多く聞かれる。
日本維新の会の音喜多駿氏も自身のブログ(和牛商品券、旅行券、デパート商品券…自民党によるしがらみ利権政治に風穴を!)で、「自民党政治の本質は、各業界団体への再配分を行う政治」であり、「自分たちの支援者・支持母体のために『手柄の取り合い』を行うことに慣れているため、緊急事態においてもそのしがらみから逃れることができない」と危機感を募らせ、吉村洋文大阪府知事は「和牛券の前に、各自治体の病床確保策に財政支援してくれ」と悲痛の声を投稿している。
ブログ更新:和牛商品券、旅行券、デパート商品券…自民党によるしがらみ利権政治に風穴を! https://t.co/bD6Ad8bUvh
改めて足元の状況下においては、機動的でフェアな現金一律給付しかありません。所得制限も選別コストが高いことから、この際は目をつぶるべきです。財源は国債でやむなし。
— 音喜多 駿(参議院議員 / 東京都選出) (@otokita) March 25, 2020
和牛券の前に、各自治体の病床確保策に財政支援してくれ。 https://t.co/ZzEsjPLFTX
— 吉村洋文(大阪府知事) (@hiroyoshimura) March 25, 2020
新型コロナウイルスの感染拡大が国民の財布を直に直撃する中、政府与党が打ち出す経済政策は、一般市民の感覚とは程遠い「利権」にまみれたものばかり…。こうした状況に、“自民党はまるでマリーアントワネットのようだ”という皮肉まで噴出している。
・あら皆さん、ご飯を食べられないなら、「和牛」を食べたらいいじゃない?
・あら皆さん、お仕事に行けないなら、「旅行」に行ったらいいじゃない?
・あら皆さん、電車賃がないなら、「高速」に乗ったらいいじゃない?
ー ジミーントワネットhttps://t.co/SCa7SV7ziv
—米山 隆一(@RyuichiYoneyama) March 25, 2020
国民が困窮してる時、利権同士で揉めてるの、18世紀にベルサイユで見た風景だわ。
— ヒノッチ (@hinocchi) March 25, 2020
和牛商品券や高速無料化よりも優先すべきことや取るべき対策があるのではないか。政府には今一度、運転資金に困っている中小企業や生活費に困っている国民が何を必要としているのかを考え、支援策を見直してもらいたい。
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