30万円借りたら肉体関係を強要された!その時、弁護士の回答は?

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ストーカーまがいの言いがかりに困っている人が多くなっていますよね。そこで今回は、弁護士自らが監修するメルマガ『知らなきゃ損する面白法律講座』に寄せられた相談の中から、借金で肉体関係を強要させられた時の対処法を教えます。

「借金を理由にした肉体関係の強要に応えないといけないでしょうか?」

『知らなきゃ損する面白法律講座』より

□相談□

知人に借金をしました。30万円の約束で、契約書にサインしましたが、実際に受け取ったのは5000円です。契約書には借りる条件として、『月一回の無償ボランティアを行う』と。結局そのボランティアとは実際、肉体関係の強要です。

怖くなり嫌になり、会わないようにして連絡を断ちましたが、つい先日契約書のコピーが送られて来ました(コピーのみ)。そこには30万の借入のはずが300万になっていました。

この場合額面の300万を返済しないといけないのでしょうか?肉体関係の強要も応え続けなければいけないのでしょうか?混乱し困っています。弁護士、警察、役所?どのように相談したらいいのか教えてください。

(30代:女性)

□回答□

まず、そもそもご相談者様が知人と交わした契約は無効である可能性が極めて高いと言えます。お金を借りる場合、その契約は民法上、「消費貸借契約」(民法587条)とされます。この契約が有効に成立する条件のひとつに、契約内容で示されたお金や物を実際に相手方に渡さなければなりません。ところが、ご相談内容では30万円の約束が、実際には5000円しか支払われていないわけですから、条件を満たしておりません。

また、「無償ボランティア」といいつつ、実際には肉体関係を迫るような契約は、倫理・道徳に反するため無効です(具体的には公序良俗違反となり、法律上、契約の効力が否定されます。民法90条参照)。したがって、肉体関係の強要に応えることは全く必要ありませんのでご安心ください。ただし、契約が無効(はじめから無かったこと)になるため、借り受けた5000円は知人に返還する必要があると考えられます。

そして、今回のケースでは、知人が当初30万円の契約内容を勝手に書き換えて300万円の契約書にしている部分については、(契約書面に印鑑などを押していれば)有印私文書偽造罪(刑法159条2項の変造罪)の可能性があります。また、詳細な経緯がご相談内容からわかりかねますが、肉体関係の強要は、強要罪(刑法223条)や脅迫罪(刑法222条)、実際に肉体関係に及んでいた場合は強姦罪(刑法177条以下)の可能性もあります。このように、知人は刑事罰の対象となり得る行為を行っていることをご理解ください。そのため、なおさら毅然とした態度で、関係を拒否して頂いて結構であると考えます。

ただ、知人はこのような契約内容を迫ってくることを考えると、かなり対応に注意すべき人物であると考えられます。独力で解決しようとなさらずに適切な対応をしてくれる協力者が必要ではないでしょうか?

この点、弁護士などの法律家に事情を詳しく話し、協力を依頼するのがスピーディな解決につながると考えます。弁護士に依頼すれば、無効な契約に対しての民事上の対処はもちろんのこと、相手方が刑事罰の対象となるような行為に及んでいる場合、捜査機関に対して適切なアナウンスや対応依頼もできるためです。

どのように弁護士を探せばよいかがわからない場合、法テラスの相談窓口を活用するのも有効です。事案から、適切な弁護士を紹介してくれたり、弁護士費用についての扶助制度などの説明も受けられます。(法テラス

『知らなきゃ損する面白法律講座』より
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