中国よ、何を考えている。AIIBの背後にある新シルクロード経済圏構想
金融資本の支援
さて、カザフスタンの首都、アスタナの建設のみならず、「新シルクロード経済圏構想」全体が中国単独ではなく、ロスチャイルドのみならず、欧米の名だたる金融資本が積極的に支援していることは、筆者が情報交換している外資系シンクタンクやコンサルティング会社のアナリストたちが、口をそろえて指摘していることである。
ロスチャイルドをはじめとした欧米の金融資本は、成長限界にきたアメリカの覇権の秩序から、これからも高い成長が期待できる中国を中心とした新しい秩序への転換を行う計画だと言われている。もしこれが事実であれば、「新シルクロード経済圏構想」は、まさにこのような意図をもつ欧米の金融資本による新しい秩序を反映した構想と見ることができる。
アラブの春、ウクライナ政変、イスラム国
さて、このように見て行くと奇妙なことに気づかないだろうか? ウクライナ政変によって、「中国ーウクライナ友好協力条約」は現在頓挫した格好になっている。また、ウクライナ東部の親ロシア派とキエフの政府軍との内戦の影響で、クリミアを「新シルクロード経済圏構想」のハブとする構想は進んでいない。
ウクライナ政変は自然に発生したものではなく、米ネオコンと軍産複合体が画策したものであることは、あまたの証拠から明らかだ。とするなら、ウクライナ政変を画策した目的のひとつは、「新シルクロード経済圏構想」という「中華経済圏」形成に向けた動きをつぶし、米国覇権を延命させることにあったのではないだろうか?もちろん、これが目的のすべてではないだろうが、目的にひとつである可能性は高い。
さらに、2010年12月に始まった「アラブの春」は、米国務省の意図で結成されたNGO、「CANVAS」が深く関与し、中東各地の騒乱を指導したことも明らかになっている。
また、最近注目を集めている「イスラム国」の活動には、米軍とイスラエル軍が深く関与し、支援している実態はすでに広く知られるようになっている。
「アラブの春」や「イスラム国」が招いた結果は、中東全域の混乱状態であった。過去の記事に何度も書いているように、これには、中東を小集団に分裂させることで、イスラエルに挑戦する国家を周辺地域から消し去るというオデット・イノンの「大イスラエル化計画」があった。
しかし、混乱している中東の一部の地域には、「新シルクロード経済圏構想」の鉄道路線、ならびに中国からの海路の拠点港となる地域が含まれている。今回の中東の混乱状態で、計画の一部は進まなくなっているに違いない。
このように見ると、「アラブの春」、「ウクライナ政変」、「イスラム国」など米国務省や軍産複合体が関与して仕掛けた一連の出来事は、やはり中国の「新シルクロード経済圏構想」を挫折させて中国の覇権化を押さえ、米国覇権を延命させる目的があったのではないだろうか?
未来を見る! 『ヤスの備忘録』連動メルマガより一部抜粋
著者/ヤス
早稲田大学卒。企業の語学研修、IT関連研修、企業関連セミナー、コンサルティング等を担当。世界の未来を、政治経済のみならず予言やスピリチュアル系など利用可能なあらゆる枠組みを使い見通しを立てる。ブログ『ヤスの備忘録』で紹介しきれない重要な情報や分析をメルマガで配信。
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