一番風呂が体に悪い3つの理由

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一番風呂、本当は入りたいけど譲っていたなんてことはありませんか?実はこれ、相手を危険にさらしてしまっているのです。『温泉失格』著者がホンネを明かす~飯塚玲児の“一湯”両断!』で、一番風呂の意外な危険性を紹介しています。

“一番湯”は、なぜ体に悪い?

一番風呂は健康によくない」という話を聞いたことがあるだろう。だが、「一番風呂は清潔だし、温度も適温だし、どうして体に悪いの?」と思うに違いない。その理由には、大きく分けて三つの要素がある。

まず一つは、この時季にはさほど気にしなくてもいいのだが、「湯船と浴室の温度差が大きいこと」である。

一番風呂の場合は、最初に浴室に入るわけで、床も室内も冷えている。冬などは本当に冷たいし寒い。 そこへきて一番風呂は湯温も熱いことが多い。この温度差が体に大きな負担をかけるのである。冬などは浴室の冷たい床に裸足で踏み込んだだけでも血管は急に収縮する。血圧も急変し、心筋梗塞や脳梗塞につながる危険性もはらんでいる。「老人は一番風呂に入れるな」というのは、意地悪でなくて根拠があるのだ。これの対策としては、シャワーや暖房などで浴室を暖めておけばいい

もう一つは「お湯がきれいすぎるから」である。

きれいだとなんで悪いの? と思うだろうが、一番風呂の湯は不純物がほとんど入っていないために、お湯の熱を直接肌に伝えてしまうのである。これが「一番湯のピリピリするような感じ」につながっているのではあるが、温熱の伝わり方が強過ぎるために、疲れやすかったり、体への負担も増えたりする場合がある。草津温泉の時間湯は、48度という高温の湯に浸かるのであるが、あれも様々な成分を含んだ草津のお湯だからこそ可能なものであり、48度の真湯ではとても入っていられないだろう。お湯がきれいすぎて体に悪いわけだから、汚くすればいい、というと聞こえは悪いが、ようは不純物を入れればいいのであって、たとえば市販の入浴剤などを入れればいいわけだ。 

最後の一つが「塩素」である。

水道水には殺菌の為に塩素が入っており、細菌類をやっつける作用もあるが、皮膚などには悪い影響がある。 塩素が肌のビタミンやミネラルを奪って、乾燥肌になりやすい。 肌が乾燥していることが多い老人に、一番風呂を薦められないのは、こうした側面もあるからである。アトピーを悪化させるということもいわれているし、実際、塩素消毒された風呂に入って湿疹ができたという人も知っている。これの対策にはビタミンCが有効で、市販の「ビタセラC」などの塩素中和剤を入れるなどして、塩素とビタミンCを結びつけることで残留塩素を減らすことができる。 ミカンの皮などもビタミンC豊富なので、これらを入れるのもいい。

一番風呂は体に悪い、とはいうものの、こと温泉に関していえば、一番風呂はやはり大きな魅力である。理由は、温泉そのものが新鮮だからである。新鮮な温泉は還元力を持っていて、誤解を怖れずにおおざっぱにいえば、抗酸化のような力がある。 そしてこの力は、時間が経って空気に触れて酸化することで徐々に失われていく。だから温泉はフレッシュな方がいいのである。とはいえ、前述した「浴室と浴槽の温度差」に関しては温泉でも同じだ。かけ湯をしっかりして、入浴前に湯に体をなじませて、急激な血圧の上昇、血管収縮などが起こらないようにするといった注意は当然必要である。「塩素」についても、源泉かけ流しでない限り必ず付いて回る問題である。これに関しては、共同スペースである温泉の場合はどうしようもない。塩素消毒されていない温泉を求める人が多いのも納得だ。「お湯がきれいすぎる」という点に関しては、温泉はそもそも様々な成分をたっぷり含んでいるので、心配する必要はない。温泉は新鮮で、きれいな方がいいのである。

image by: Shutterstock

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『温泉失格』著者がホンネを明かす~飯塚玲児の“一湯”両断!

著者/飯塚玲児
温泉業界にはびこる「源泉かけ流し偏重主義」に疑問を投げかけた『温泉失格』の著者が、旅業界の裏話や温泉にまつわる問題点、本当に信用していい名湯名宿ガイド、プロならではの旅行術などを大公開!
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