日本という「死の商人」が、中国をも儲けさせるカラクリ

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先月、強行採決の末に可決された安保法案。全国各地で反対デモが繰り広げられる中、いわば強引に押し通されたこの法案のウラには、軍需産業の思惑があるとも言われています。「ホンマでっか!? TV」でもおなじみの池田清彦先生が自身のメルマガ『池田清彦のやせ我慢日記』で、そのカラクリをわかりやすく解説しています。

国民国家の解体とグローバリゼーション

安倍はさんざん中国の脅威を煽って、戦争法案を成立させたが、現実問題として、いまや大国間の戦争は不可能なのだ。今年の6月20日から7月1日までモンゴルでカーン・クエストと呼ばれるPKO(国連平和維持活動)の多国間訓練が行われ、現地のモンゴルはじめ、アメリカ、中国、日本、韓国、フランス、カナダなど23カ国の軍隊が参加した。戦争になった場合は、もちろん敵同士の軍隊は戦うということに一応はなっているわけだけれど、平時は、軍隊同士は、軍隊を維持するという共通利益を守るための仲間なのである。だからアメリカ軍と中国軍が共同の軍事演習をしたりするわけである。

敵国が攻めてきたら困るという大義名分の下で、軍隊の存在は正当化されてきたわけだけれど、大国同士が本気で総力戦の戦争を始めると、勝っても負けても、国力は疲弊して、戦争を傍観していた国に経済的な覇権を奪われてしまうため、国家の指導者たちの気が狂わない限り、軍隊による大国間の総力戦は起こりようがないのだ。

一方で、軍需産業は世界が完全に平和になってしまうと、儲からなくなってしまうので、マイナーな国同士の戦争や紛争を歓迎することになる。 世界のあちこちで小さな紛争が後を絶たないのは、それを推進する見えない圧力がかかっているからだと考えたほうがいい。各国の軍需産業とそれに連なって何らかの利益を得ている国家のエスタブリッシュメントたちは軍隊の維持と紛争の継続のために国民を騙すことに腐心しているはずだ。軍隊は敵が攻めてきたときに自国民を守るためにあるのだと、どこの国の政府もウソをついているけれども、事実は、軍隊は自国民を守るためではなく、軍需産業とそれに連なるエスタブリッシュメントの利益を守るために存在しているのである。安倍がごり押しして通した戦争法案ももちろんそのためのものだ。軍需産業の共通利益という観点からすれば、アメリカのみならず、中国でさえも、日本がアメリカの戦争に参加して、紛争が拡大したり、テロが起きたりすることは大歓迎なのだ。なんといったって紛争が拡大すれば武器は売れるからね。

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