「無印良品」と「おいしい牛乳」に共通する、“消える”という哲学

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デザインのイロハを初心者にもわかりやすく教えてくれる、メルマガ『プロが教える「美大いらずのデザイン講座」』。今回は「現れるデザイン・消えるデザイン」というテーマで、「消えるデザイン」の代表格である無印良品が支持される理由を解き明かしています。

現れる(主張する)デザイン・消えるデザイン

妙なお題だな、そんな風に思われた方も多いでしょう。

しかし“デザイン”というものを考える時に『現れる』と『消える』、この2つの要素はそれぞれ凄い大切なものなんで、今回詳しく書かせてもらいたいと思いました。是非最後までお付き合いください。

“デザイン”って言葉にしてしまえばこのひとことで終わりですが、この“デザイン”というものは本当に色々な意味・要素を持っているものだと最近つくづく思います。

万華鏡のように少しでも角度を変えるといちいち色々な意味が姿を現してしまい、デザインの世界で何年も食わせてもらってるにも関わらず、未だ新たな発見があって、うろたえてしまったり面白がったりしてしまいます^^

まあ時々深すぎてわからなくなってしまいますけど、それだけ深いモノなんだなって思いますね。

今回のテーマも全く相反する二つの言葉ですよね。

現れる』⇒前へ出る目立つ・主張する
消える』⇒後ろへ引っ込む・外の世界と反発しない・馴染んでいる

でも不思議な事に、どちらも“デザイン”というものにとってとても大切な要素です。どういうことでしょう?

まず『現れるデザイン』。つまりは、どう目立つのか他と比べて目立つ事は、商業デザインの世界でも普通に重要な事でしょう。

他の商品よりも人の目を引く、例えばプロダクツデザインの世界で言えば、売り場に置いてあったとしても他の商品よりも前へ出てくる、前へ前へと見えて来てお客さんの目に飛び込んできて、購入に至る。

至極普通な事ですし、人が商品を選ぶ大切な要素としてデザインというものがあるのであれば、僕らデザイナーは『いかにしてデザインで目立つのか?』、そこから逃げる事なくむしろ真摯に考えていかなければなりません。

しかし、もうひとつの要素『消える後ろへ引っ込む目立たない、外の世界と馴染む)』、これらの言葉もデザインにとってとても大切な要素なんだと言われてしまうと、皆さんは何だかわからなくなってしまうかもしれません。だって捉えようによっては、全てとてもネガティブな言葉ですもんね。

目立たない引っ込む・馴染む、、まして消える?? もちろん『商品が消える』という事ではありません! 妙な言い方ですが消えるのは『過度のデザイン・過度に装飾的な要素』です。

デザイン(装飾的な部分と言ってイイかもしれません)というものを消すことによって、“商品そのものが表に現れて来るのです。(もっと言えば商品というか『もの・本質』ですかね?)

もっと具体的に言えば、いかにも『デザインをしましたぞ』という部分を消し去る事で、そのもの自体を全面に出し、人と直接繋げたい。そういう意味で「デザインを消したい」と言っている訳です。

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