「爆買い」に湧く沖縄が、それでも「中国」を断らないといけない裏事情

 

この夏に上海から沖縄に何度も来航しました「クアンタム・オブ・ザ・シーズ」は世界最大級のクルーズ船でして、就航日には約5,000人の乗客者がなだれ込むように、那覇の街へとやってきます。この5,000人を運ぶために大型観光バスが港で待機し、そのバスの数だけで120台を超えており、下船するだけで3時間を要するため、那覇港はいつも大混雑。昨年対比でみても、沖縄に寄港する巨大クルーズ船は約150隻から250隻へと急速に伸びており、すでに岩壁不足で、受け入れができずに寄港を断るような状況になっています。

沖縄県としては急速に港の整備をして受け入れ態勢を整えたいのでしょうが、ここで問題となるのが軍港です。軍港とは沖縄駐留米軍の港であり、しかも海軍ではなく陸軍が管理する港湾設備を指し示します。

実は、すでに日米間で返還合意している港なのですが、米軍に留まって欲しい日本政府の思惑があったため、その後、浦添移設案が急浮上し、現在大きな反対運動が起きています。なにしろ、辺野古基地に反対している沖縄県の翁長知事が、「今後、絶対あたらしい基地作らせない」と何度も話してきたからです。

しかし、この那覇軍港をどうにかしなければ、寄港したいと要望している「21世紀の宝船」大型クルーズ船の寄港を断らねばなりません。そうすると、週に何万人もの観光客失ってしまうことになります。

そこで、「絶対にあたらしい基地を作らせない」と話してきた翁長知事や、浦添軍港移転に反対して当選した浦添市長まで、突如大きく方向転換しまして、軍港をあらたに浦添に作り移転し、那覇港を整備しようとしています。このあたりに沖縄の本当の複雑さが伺えます。

image by: TungCheung / Shutterstock.com

 

高城未来研究所「Future Report」』より一部抜粋

著者/高城剛(作家/クリエイティブ・ディレクター)
1964年生まれ。現在、コミュニケーション戦略と次世代テクノロジーを専門に、創造産業全般にわたって活躍。毎週2通に渡るメルマガは、注目ガジェットや海外移住のヒント、マクロビの始め方や読者の質問に懇切丁寧に答えるQ&Aコーナーなど「今知りたいこと」を網羅する。
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