LGBT先進国アメリカから見た、渋谷区の同性婚条例

2015.04.11
by まぐまぐ編集部
shutterstock_193954301
 

3月31日に渋谷区で同性カップル証明書条例が成立した。日本初となるこの“同性パートナーシップを結婚に相当する関係として認める”条例には、提案時点から関心を寄せる人も多かったが、正式に成立された今、海外メディアからも注目が集まり始めている。

もっとも目立った報道は米国のABC newsの記事

LGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー)が、差別や偏見にさらされず、前向きに生きていける社会の実現を目指す東京レインボープライドの共同代表、 杉山文野氏にインタビュー。杉野氏のコメントを交え、渋谷区議会の画期的な決議と日本におけるLGBTの現状をリポートしている。

記事内では、日本では同性のカップルの場合一緒に住む部屋が借りられなかったり、事故や病気の際に、婚姻関係にないと、病室への入室が許されなかったり、 そもそも基本的な社会構造自体がLGBTの人々にとってとても生きづらい環境にある。日本のように周りと同じであることをよしとする社会では、LGBTは異質者として扱われるため、他国より辛い心理的トラウマを背負うことになると説明。そのような社会では、本来の自分の性を隠したまま生活する人も少なくない、とLGBTに対する日本社会の認識の遅れを指摘した。

現在、21万7000人(そのうち外国人は9000人)いる渋谷区の住人のうち、どのくらいの人が同性婚証明書条例の対象者となるのかはわからないが(ほとんどの人がLGBTを隠しているため)、今のところ渋谷区以外でこの条例を適用する動きはないので、これからきっと多くの人々が渋谷区に引っ越してくるのではないかと予測している。

LGBTのために声をあげる杉山さんは「長い間切望していたLGBTを取り巻く社会環境の変化への新しいステップとして非常に喜ばしい」とコメントし、「私たちはただ単純に愛する人と一緒にいる権利が欲しいだけ」とLGBTの人々の想いを伝えている。

杉山さんは、女性として生まれたが、幼稚園のころにはすでに自分が男性であることに気づき、日本代表女子フェンシシングチームに所属していた時でさえも、自分のことを女性だと思ったことは一度もないという。数年前に性別適合手術を受け、見た目にも完全に男性である杉山さんだが、日本の法律では女性なので、今回の条例成立によってようやく4年間一緒にいるパートナーと結婚できると伝えた。

ABC newsの記事は、「変わらなきゃいけないのは、私たちでなく社会だ」という杉山さんの言葉で締めくくられている。

現在、学校のクラスにひとりはいると言われるLGBTだが、もしも友達や知人の中にその顔が思い浮かばないとしたら、それは彼らが言わずに隠して生活しているから。彼らが言わないのは、私たちが無意識のうちに言わせない社会を作っているということだ。

好きな人と一緒にいたいと思うのは当たり前のこと。誰もが好きな人と一緒の人生を歩めるように、変わらなければならないのは社会のほうで、そんな社会のひとりである自分だと思う。自分も含めた日本人みんなに言いたいのは、「日本人よ、もっと声をあげよう!」というメッセージ。近く渋谷区に続く行政が現れることを期待している。

source: ABC news

(小林繭)

 

print

  • LGBT先進国アメリカから見た、渋谷区の同性婚条例
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け