【アシアナ機事故】人気作家が推理する事故原因とは?

ooishi20150416
 

4月14日に広島空港で発生したアシアナ機事故。日を追うごとにさまざまな情報が明らかになってきましたが、原因解明にはまだまだ時間がかかるとみられています。航空機全般にも幅広い知識を持つ作家の大石英司さんは、「パイロットの判断ミスが7割」と見ています。

広島空港アシアナ機事故

参照記事:<アシアナ機事故>直前に視界悪化 30メートル低く進入、着陸10分前、突然大揺れ「吐きそうになった」

着陸前に炎が見えたというのは、たぶん衝撃に拠るバックファイアでしょう。それ自体は事故に関係無い。一分前までは降下率は正常だったということだし。

機体は真っ直ぐ滑走路に入っている所から、恐らくランウェイの灯りは見えていた。この時点では、高度計とか注意を払う余裕はなく、パイロットはPAPI(編集部注:進入角指示灯)の発見に集中していたけれど、残念ながらPAPIは見えないまま突っ込む羽目になった。天候が急変して、恐らくは秒単位で視界が悪化したことに対応できなかったということでしょう。本来なら着陸復航なりダイバート(編集部注:他の空港に着陸すること)するしかなかった。

管制がひとたび着陸許可を出したら、後は降りるか否かはパイロットの判断だから、気の毒な部分はある。もう少し早い段階で視界悪化を察知して警告できていれば、パイロットは余裕を持ってダイバートを決断できたかも知れない。恐らく事故原因の割合としては、パイロットの判断ミスが7割、管制側から十分な航法援助を得られなかったことが3割くらいということになるでしょう。

しかし当該機は、本当に東からアプローチする必要があったのか? 広島空港は、羽田とのシャトル便が主な路線だから、従来から東からの目視アプローチが好まれる傾向にあった。しかし、該当機は西から飛んで来るから、東からのアプローチは遠回りになる。しかも計器進入は出来ない。その時刻は暗くなり、霧が出る状況にもあった。東からのアプローチは風対策だったという話になっているけれど、正直、東からのアプローチでなければ危険だと判断するほどの風が吹いていたようには思えない。夜間、悪天候によるミスアプローチの可能性と風の影響による着陸失敗を天秤に掛けた時、どちらがより危険かは微妙な所で、現状では、東からの目視進入を判断するだけの合理性があったのか? という疑問を禁じ得ない。

ところで該当機は、広島空港に着陸した後、どうする予定だったのだろう。そのまま引き返す? 広島空港で一泊? 関空や伊丹へ移動? 広島に降りた後、どうする予定だったかで、パイロットの判断に大きな影響を与えたことでしょう。

『日刊 大石英司の代替空港』2015.4.16号より一部抜粋

【2015.4.16号の目次】
・アシアナ機続報
・[社説]産経前ソウル支局長を英雄のように迎える安倍首相
・AIIB 独首相が日本に参加呼びかけ
・日本・ドイツ比較:「煙独」ムードじわり 戦後70年巡り
・[コラム]安倍首相に忠告する(1)
・世界経済、もう輝かないかもしれない未来
・国立大学「経営力戦略」策定へ…目標を3分類
・航空機の次世代化でサイバー脅威増大 ハッキングでハイジャックも?
・アメリカ海軍の無人艦載偵察攻撃機実証機X47B、試験打ち切りか!?
・米海軍、群れで飛ぶ低コスト変形無人機LOCUSTを公開。円筒から発射
・「滞空世界一」の次 オタクが狙う、人運ぶドローン
・米議会敷地にオートジャイロ着陸、操縦の男拘束
・二度と行きたくない!日本旅行中、わずか30分で20万円取られた韓国人青年=韓国ネット「日本なんかに行くのが悪い」「韓国人の店じゃないの?」
・防衛大学校を志望する息子を翻意させたい
・土星の巨大嵐「大白斑」の謎を解明、米大学研究
・空曹が不倫相手の女性自衛官に暴行、空士長も…
・見てはいけないもの
・『週刊 陸上自衛隊10式戦車をつくる』先行予約販売開始
・有料版おまけ 刺に於けるマーフィの法則

著者/大石英司

作家、鹿児島県出身、川崎市高津区在住。国内外の注目ニュースに関して alternative な視点を提供するメルマガはビジネスマンなら必読です。
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