ほかの店には見られない圧縮陳列や耳から離れないテーマソングが癖になり、何度も足を運んでしまう驚安の殿堂ドン・キホーテ。『毎日3分読書革命!土井英司のビジネスブックマラソン』では、その創業者、安田隆夫さんの波乱万丈な人生と独特な経営哲学が書かれた1冊を紹介しています。
『安売り王一代 私の「ドン・キホーテ」人生』 安田隆夫・著 文藝春秋
こんにちは、土井英司です。
勉強ができない子の教科書を見ると、ついこう言いたくなるときがあります。
「赤ペン引きすぎでしょ」
そう、勉強のできない子は、どれが大事か絞り切れないため、教科書が赤ペンだらけになってしまうのです。
しかしながら、そういう自分もついつい「勉強ができない子」に成り下がってしまうときがあります。それは、本当に素晴らしい本に出会ったとき。大事なことだらけで、忘れたくないことだらけで、思わず赤ペンだらけにしてしまう。そんなときが、ごくまれにあるのです。
本日ご紹介する『安売り王一代 私の「ドン・キホーテ」人生』は、まさにそんな本でした。
ビジネスをやっている人なら、「安売り王一代」「安田隆夫」だけでもこれが何の本かおわかりでしょうし、即買いしてしまうと思います。人によっては、「私の履歴書?」と思ってもおかしくないと思います。
無一文から7,000億円の上場企業をつくった、驚異の発想力。小売の常識にとことん挑み、一号店開業以来、26期連続の増収営業増益記録。
とにかく型破りな創業者の、波乱万丈の人生がおもしろい。これで経営の秘訣まで学べるのだから、新書で800円ははっきりいって安いです(さすが安売り王!)。
何より驚くのは、こんな無茶苦茶なやり方を、現場に権限委譲して成し遂げてしまったということ。それが証拠に、同社の株価は、著者が引退してからも変わることなく、伸び続けています(最近ちょっと落ちていたようですが)。
「ナイトマーケット」の開拓、遊び心満載の「圧縮陳列」、仕事のゲーム化、驚くほどの権限委譲…。
とにかく学ぶことの多い内容で、気がついたら赤ペンびっしりになってしまいました。本当にポイントを絞るのに苦労しましたが、いくつか気になった点をピックアップしてみましょう。