「優しさは世界一」の日本人が、電車で老人たちに席を譲らない理由

 

相手の時間をわずかながらでも頂戴することは申し訳ないと思っているのでしょうか。 あるいは申し訳ないと思っていると思わせたいのでしょうか。 あるいは知らない人とそこまで関わりたくないけど、聞かなきゃしょうがないから最小限に済ませようとしているのか。 あるいは関わる時間が長ければ長いほど恥ずかしいから、短く切り上げようとしているのか(多分、3番目か4番目だな)。

どちらにせよ、日頃僕たちがニューヨークで生活している際の人との距離感とあきらかに違うレンジで人が接してる(言葉は母国同士だからホントはもっとコミュケーション取りやすいはずだけど)。日本以外の国だと人と人の距離感が明らかに近いということは覚えておいた方がいい。 特に多様な人種がうごめくニューヨークでは、いちいち、その国の文化、風習に合わせていられないのか、(あるいは他人にどう思われても平気なのか)至ってシンプルです。

知らないから道を聞く

カニ玉食べたいから、中華料理店を聞く。

以前、エンパイアーステートビルの入り口に立っている人にエンパイアーステートビルってどこ? って聞かれたこともあります。 彼にとっては振り向くというひとつの動作よりたまたま目の前を通った僕に訪ねる方が楽だったということでしょう。

ウイークデーの昼間。 信号待ちしてると、いきなり隣のアメリカ人ビジネスマンにネクタイを触られ、「これ、いいね! どこで買ったの?」とか。 地下鉄車内で隣に座っている人に「カッコいい時計だな。 日本製?」とか。 本当によく聞かれます。 ニューヨークあるあるです。 そして、それはとっても嬉しい気分になります。

前々回の日本出張時山手線に乗車した際、隣に座っている20代後半〜30代前半くらいのビジネススーツの男性が膝の上に置いているネイビーのブリーフケースがとても格好よく見え(実はニューヨークはオシャレなイメージかもしれませんが、男性用の鞄はほとんど黒一色。 黒を基調とした製品しかありません)「いいね、ソレ。 どこのブランド?」と聞いた際の彼のすっごく引きつった驚いた顔を忘れることが出来ません。 あきらかに「ヤバい! ヘンな人に話しかけられたっていう顔(笑)。 同乗した反対隣に座っていた僕の知り合いにも「高橋さん、ヤメましょ、ね。 ヤメましょ」となだめられました (笑)。

オレ…褒めたのに…。

身につけている衣類、アクセサリーを褒める―。 実は世界で、人間にとって、ごくごく自然なことが、日本では不自然なことに映る。 そんな社会になってしまっている気がします。

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