ロシアの進撃で、トルコとイスラエルが接近。まるで聖書の預言通り

 

トルコをめぐる米露

米国は、ISもシリア政府の独裁も認めない立場であり、このため、プーチン大統領は「米ロは共にシリア危機の解決策を探している」と述べ、ケリー長官は「前進に向けて共に多くのことができる」とした。

シリア情勢が主要議題で、ISとの戦いで調整を図る一方、和平に向けたシリアの政権移行におけるアサド大統領の処遇が焦点となった。

外相会談では、ケリー長官は「ISは共通の脅威だ」と述べ、シリア情勢で米露が協力する必要性を強調した。これに対してラブロフ外相は「解決すべき問題が残っている」と指摘し、政権移行に参加できる反体制派とテロ組織の線引きなどで、溝の深さを示唆した。

ラブロフ外相の言いたいことは、要するに、トルコが支援する同じ民族の反政府勢力をロシアはテロ組織であるということである。また、トルコは、IS国の石油を買い、ISへ武器等を援助しているので、トルコもISと同罪であり、その支援する反政府勢力も駆逐しないといけないというのである。

これでは、トルコはロシアと手を組めない。ロシアはトルコとの戦争も辞さない感じになるが、ボスボラス海峡を封鎖されるとシリアへの物資補給が円滑に行かないことになるのでそれもできない。

しかし、シリアにロシアは、最新鋭のS-400防空システムやシリア沿岸部に長距離防空システムを搭載した巡洋艦モスクワを展開してトルコを牽制している。事実、トルコ空軍はシリアへの空爆を止めている。

そして、ロシアのトルコへの批判と同調するように、カーター米国防長官もトルコ南部インジルリク空軍基地を訪問し、IS掃討に向け、トルコに対して隣国シリアとの国境の管理強化を求めた。トルコがISとの関係をより敵対的にするように勧告したことになる。

米国は、ISの安い原油をトルコが買っていると見ている。

トルコの一番の敵は、シリア政府とクルド勢力であり、次にISなので、クルド勢力を敵とするISは敵の敵になる。このため、トルコはどうしてもISに甘くなりがちで、米国も、そのようなトルコに苦言を呈したのである。

そして、国連安全保障理事会はISに対する決議案で、ISのメンバーや、ISに資金援助した個人や団体に資産凍結や渡航禁止の制裁を科すことが柱。金融面でも国際的な包囲網を形成し、IS弱体化を図るのが狙い。この案は米露で一致している。トルコ企業が対象になる可能性がある。

ロシアと同盟関係にあるイラクも自国内にいるトルコ軍の撤退を国連に申請した。このように、トルコが悪者にされている

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