アメリカ大統領選挙の最有力候補との呼び声が高いヒラリー・クリントン氏。彼女は米国初の女性大統領に選出されるのか、また彼女が現在抱えていると言われている大きな問題点とは何か、メルマガ『高城未来研究所「Future Report」』の著者・高城剛さんが私見たっぷりに語っています。
大切な場面で必ず失敗するジンクス
今週は、2016年米国大統領選に立候補中、もっともその地位に近いと言われているヒラリー・クリントンの今後につきまして、私見たっぷりにお話ししたいと思います。
今週、米国民主党から2016年米国大統領選に立候補中諸氏のテレビ・ディベートが行われました。
参加者は、ヒラリー・クリントン、バーニー・サンダースなどの民主党有力候補が勢ぞろいしたのですが、真面目な討議が繰り広げられ(当たり前ですが)、共和党候補ドナルド・トランプのような「見世物」がないため、テレビ的にはまったく面白くありませんでした。
確かにヒラリー・クリントンは圧倒的な人気を誇り、現在もっとも次期大統領に近い人物に間違いありませんが、今回は「大切な場面で必ず失敗する」と言われるジンクスを破れるのか。
それが、最大の焦点になりそうです。
懸念される健康上の問題
その失敗するであろうと予測されるのは、副大統領候補選びにあります。
米国大統領選は単独で行うのではなく、長いあいだ選挙戦を共に走る「ランニングメイト」と呼ばれる副大統領候補が必要となります。
現在、ヒラリーの最大の懸念は年齢にあります。
もし、大統領になれたとしても69歳という年齢はどうすることもできず、二期務めるとなると77歳ということもなってしまい、健康上の問題がすでに懸念されています。
このような年齢は日本の政治家ではまったく珍しいことではありませんが、現大統領であるバラク・オバマが大統領に就任したのが47歳で、かのJ・Fケネディは43歳で就任していたことを考えると、ヒラリーの69歳はかなり高齢ということになります。
ですので、今後一番大切な時に少しでも健康上に問題があるように見えれば、支持率は急降下し、「大切な場面で必ず失敗する」とまた言われてしまうのは間違いありません。
わずか37歳のエリート副大統領候補
そこで、「ランニングメイト」である副大統領候補は、若い30代の議員から選ぶのではないか、と実しやかに噂されています。
その人物のひとりは、マサチューセッツ選出の下院議員セス・モールトン37歳です。
セス・モールトンは、ハーバード大学で物理学を修めたのち、士官としてイラク戦争に着任。
再び大学に戻ろうとした矢先、現CIA長官から直々のスカウトを受け、再び戦場へ。
その後、マサチューセッツから下院議員に立候補して当選した民主党のエリート議員です。
このモールトンに注目が集まっているのは、その年齢にあります。
20-30代女性に不評。打つ手はあるのか
米国大統領になるには40歳という年齢制限がありますが、副大統領は36歳でも就任可能であり、それゆえ、現在37歳であるモールトンに白羽の矢がたつのではないか、と言われているのです。
また、現在のヒラリー賛同者を分析すると、20-30代女性に不評なことが伺えます。
ということは、20-30代女性に人気がある人物を、どうしても副大統領候補に選ばねばなりません。
どちらにしろ、ヒラリーが「若い力」を求めているのは間違いないことになります。
ライバルが得たプーチンという強い味方
今週行われた別のディベートでは、ドナルド・トランプがヒラリーに暴言を吐くいつものパフォーマンスが行われましたが、注目は、トランプに意外な応援団が現れたことにあります。
その人物はロシアのプーチン大統領で、ロイターによれば、プーチン大統領は「トランプ氏の対ロ関係深化の発言を歓迎」し、それにたいしてトランプは「名誉なこと。米ロが協力しテロ根絶を」と、呼応しています。
こう考えると、もし、ヒラリーが大統領に就任すれば、ロシアにたいして強い態度で臨み、同時に米国の中東戦略は強化されることになり、世界の状況はますます悪化するものとみられます。
リベラル・ホークの異名を持ちながら、ことごとく外交に失敗した「史上最悪の国務大臣」と呼ばれたヒラリー・クリントンの外交戦略は、世界を二分化するだけではなく、世界を大混乱に陥れる可能性が実績から読み取れます。
政治、経済、社会問題と緊迫が続く世界の中心は、まだまだ米国で、その次期大統領によって、大きく世界は変わりゆくのは間違いありません。
これから数ヶ月間、米国大統領選にさらなる注視が必要です。
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