まるで不意打ちの「日韓合意」。オバマ政権はなぜ今、圧力をかけたのか?

tanaka
 

2015年末、日韓の間で電撃的な合意がなされた慰安婦問題。しかし、なぜこのタイミングで突然、合意がなされたのでしょうか? この件を巡ってさまざまな憶測が乱れ飛んでいますが、『田中宇の国際ニュース解説』は、「米・オバマ政権による差し金」と見ています。そして、この流れに日本の官僚機構が焦りを見せている理由とは何か、膨大なソースを元に詳しく解説しています。

日韓和解なぜ今?

昨年12月28日、日本と韓国が従軍慰安婦問題で和解した。日韓はなぜこのタイミングで、慰安婦問題を最終的・不可逆的に解決したのか。日韓の国交正常化50周年である昨年のうちに何としても解決したかったから、とか、1年以上にわたる双方の外交努力がようやく実ったから、といった説明がされている。だが私から見ると、慰安婦問題による対立は、日韓双方にとって既存の国内権力構造の維持に好都合であり、政府間の解決への努力の多くは「努力するふりだけ」で、よっぽど強い外部からの圧力がない限り、双方が解決に至ることはなかった。

Japan, S.Korea diplomats meet ahead of ministerial talks on ‘comfort women’

日韓双方の中枢で強い力を持つ「対米従属派」にとって、慰安婦問題を解決せず放置しておくことは、日韓の結束を阻み、日韓が別々に対米従属を続けることを可能にする便利な道具だった。日韓が慰安婦問題を解決すると、阻まれていた日韓の直接の安保協調が強まり、米国は日本と韓国の駐留米軍を撤退しやすくなり、日韓両方の対米従属を終わりに近づける。日韓の政府だけの意志で慰安婦問題が解決されることはなく、慰安婦問題の解決は、米国の差し金である可能性が高い。外から日韓に強い圧力をかけられるのは米国だけだ。慰安婦問題がなぜ今解決したのか、という問いは、オバマ政権がなぜ今日韓に和解しろと圧力をかけたのかという問いになる。
Japan, South Korea Reach Agreement on ‘Comfort Women’

先に私なりの答えを書いておくと、それは「オバマは、任期最後の年である今年、北朝鮮の核開発問題を解決したいのでないか。そのためにまず、米国の力で最も簡単に解決できる日韓の和解を実現したのでないか」ということだ。米大統領が、軍産複合体やイスラエルの政治圧力を気にせず国際戦略を進められるのは、再選されて2期8年やれた場合の、もう先に選挙がない最後の2年間だけだ。オバマは、最後の2年のうちの前半である昨年、中東に専念し、イラン核問題を解決し、シリアにロシア軍を呼び込み、中東での露イランの影響力を急増させ、イスラエルをへこました。残る今年の1年北朝鮮問題の解決や、中国を強化するかたちで譲歩するニクソン的なやり方を進める可能性がある。北朝鮮の核兵器廃棄を目標にする6カ国協議は2003年から07年まで断続的に開かれたが、09年の北の2回目の核実験以降、頓挫している。だが中国と韓国は昨年11月下旬、協議の再開に向けて動いていくことで合意した。

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