英国は2度裏切る。米国と中国の間で揺れる「欧州」に不穏な動き

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「まぐまぐ大賞2015」の総合大賞1位に輝いた無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』の著者・北野幸伯さんが、アメリカや中国に続き、2016年の欧州がどうなっていくのか大胆な予測を立てています。2016年の欧州は、深刻な移民問題やIS問題を解決することはできるのでしょうか。

2016年、世界はどうなる?~欧州はどうなる?

「2016年世界はどうなる」シリーズの3回目です。今日は、欧州について触れましょう。前号、前々号を読んでない方は、わけがわからなくなります。まず、こちらからご一読ください。

● 世界に再び吹き荒れるナショナリズム。斜陽の米国はどこへ行く?

● 世界はチャイナマネーにひれ伏すのか?米中覇権争いは歴史的分岐点に

米中の狭間で欧州は?

前号、前々号を読まれた方は、ご存知です。08年以降、世界は別の時代に突入しています。08年以前は、「アメリカ一極時代」だった。08年以降は、米中二極時代」になった。そして、米中以外の国々は、「アメリカと中国、どっちにつくのがお得かな?」と考えながら動いている。

欧州は、どうなのでしょうか? これは、「どちらかというと中国側についている」といえるでしょう。

例を2つ挙げておきます。たとえば2015年3月のAIIB事件」。アメリカの警告を無視してAIIBに参加した欧州の国々は?

イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、ルクセンブルグ、スイス、オーストリア、オランダ、デンマーク、ポルトガル、スペイン、フィンランド、ノルウェー、マルタ、アイスランド、ポーランド、スウェーデンとなっています。

アメリカが衝撃を受け、「このままでは覇権を奪われる!」とあせったのも当然でしょう。

AIIB」について、「格付け会社が格付けを出さないほどひどい状態ですよ」と質問がきました。その通りです。しかし、2015年3月の時点では、57か国が中国主導のAIIBに期待をかけていた。その後、あせったアメリカが反攻に転じたのです。夕刊フジ12月8日付は、「中国が格付け会社を脅迫した」ことを報じています。

ロイターによると、AIIBの初代総裁に内定している中国出身の金立群氏は9月、スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)やムーディーズ、フィッチ・レーティングスなどの主要格付け会社に接触し、信用格付けについて「公正な評価を望んでいる」と述べたうえで、「投資家がわれわれをトリプルAと認識し、格付け会社がそうしないならば、格付け会社の評判が大きく傷つくだろう」と牽制(けんせい)していた。それだけ格付けに敏感になっていることがうかがえる。

ところが、「アメリカ」の格付け会社であるS&P、ムーディーズ、フィッチは、中国の脅しに屈しませんでした

実際にフタを開けてみると、「二流」どころか「無格付け」と、もっとひどいことになるという。投資不適格な低格付け債は「ジャンク(紙くず)債」といわれるが、それ以下ともいえる。元内閣参事官で嘉悦大教授の高橋洋一氏は、国際金融機関が無格付けの債券を発行するというのは「聞いたことがない」というから、前代未聞の事態だ。(同上)

これは、「アメリカ」の格付け会社である3社が、政府の意向に従ったのでしょうか? それとも、正当な格付けを行ったのでしょうか?

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