中国株大暴落が警告する危険信号。習近平は世界を道連れにするのか

 

習近平は就任以来、毛沢東を意識した発言を繰り返してきましたが、去年末に開いた中央都市工作会議は、鄧小平が開催して以来開かれたことがなかったもので、じつに37年ぶりの開催でした。毛沢東の次は鄧小平のマネです。

政策をマネして実際に成果を挙げるならまだしも、形式や態度や演説をマネするだけで、表面的にはキレイなことばかり言っていますが、中身は空っぽなものばかりです。

一方、習近平は年末年始にかけて人民解放軍の改革に着手しました。「ロケット軍」「陸軍司令部」「戦略支援部隊」の3組織が新設されたほか、空軍、海軍の司令官などの重要ポストも近く人事刷新が行われ、習氏に近い人物が起用される見通しです。

習近平氏の軍掌握着々と…人民解放軍に「ロケット軍」新設 人事も大幅刷新へ

とはいえ、現在の軍の制服組のトップは、当中央軍事委員会副主席の范長龍と許其亮ですが、この2人は胡錦濤政権時代に選ばれた人物であり、習近平人脈ではありません。つまりまだ習近平は軍権を完全には掌握していないわけです。はたして近々行われる人事がどのようなものか、注目すべき点だと思います。

そしてもうひとつ近々の出来事で注目なのが台湾での総統選です。いよいよ今月16日の投票日が近づいてきました。

台湾では、16日の選挙で民進党の総統が誕生することがますます確実となってきている情勢です。国民党が「汚い手(袖の下)」を使わない限り、この流れは変わらないでしょう。蔡英文の支持率はずっと半数近くをキープしており、国民党の朱立倫、新民党の宋楚瑜2人の支持率を足しても及ばないほど差が出ています。

テレビ討論会では、アメリカ大統領選のそれをモデルにやっているものの、そんなもの必要ないという意見も台湾では多くあります。なぜなら、これまで国民党が公約を守ったことがないからで、事前に公約を討論したところで当選すればどうせ知らんぷりだろうという気持ちがあるからです。

馬英九の「六三三」(所得6万台湾ドル、成長率3%、失業率3%以下)という公約は、実際は「一二三」でした。また、テレビ討論会で好印象を与えることができれば票獲得につながるため、候補者は平気で嘘の公約を掲げたりもします。そのため、台湾ではテレビ討論会反対派が多いのです。

それはともかく、蔡英文総統が誕生した後、中国の台湾政策はどのように変わっていくのか。軍権を掌握するかどうかということも、これに関係してくるでしょう。

かくして、国際政治の大きな変化と、習近平による中国国内での権力闘争が、はたしてどのような事態を招来させるかということが、2016年の注目ポイントとなります。

世界が恐れているのは、習近平が衰退する経済と権力闘争の敗北でヤケクソとなり、暴走して世界を道連れにすることです。中国による無理心中は自爆テロよりも怖いのです。

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黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』より一部抜粋

著者/黄文雄
台湾出身の評論家・黄文雄が、歪められた日本の歴史を正し、中国・韓国・台湾などアジアの最新情報を解説。歴史を見る目が変われば、いま日本周辺で何が起きているかがわかる!
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