社員2000人の賞与に直筆の手紙。カリスマ経営者「やる気」引き出し術

shutterstock_1167245 copy
 

大会社に勤める一社員が、経営者に名前を覚えてもらえることは、とても大きな喜びです。本田宗一郎、松下幸之助、稲盛和夫など、カリスマ経営者と呼ばれていた各氏は、そのことがよくわかっていました。今こそ、「経営の根幹は人の情である」という古来からの事例に学ぶ必要があるのではないでしょうか。メルマガ『戦略経営の「よもやま話」』の著者である浅井良一さんは、経営者としてとるべき行動のヒントとして、「社員を個人として評価することの大切さ」を説いています。

管理の意味 

モノづくり(サービス業も含みます)勝負どころ」が、ハイレベルの満足を実現させることなり、重点が「労働から知識に移行しました。「知識」経営は多くの人の能動的な協働なくしてなされず、その機軸である「経営者あるべき考え方が鍵になります。

経営学では、人の定義において「経済人モデル」というものがありました。人は知性があり、意思決定および行動は「合理的な判断」に基づいて行われるというものです。そこでの管理の手法は「飴と鞭」が主体になります。しかし、現代経営で「飴と鞭」のみで大成した企業などどこにもありません。

急激に成長した優良企業に「京セラ」や「日本電産」がありますが、この企業の経営者である稲盛さんと永守さんには同じような行動が見られます。それは「あなたのことを知っており、気にかけているという意思表示です。古来人に抜きんでて成功を勝ち得る人には、洋の東西を問わずここの「勘どころ」をきっちりと押さえています。

戦国時代では武将が「旗差し物」という目印を背負っています。だれが手柄を立てたかが一目して軍目付(いくさめつけ)に分かるようにするためのもので、軍功によって地位も富も手に入れることができました。武田信玄などは、合戦のその場で「甲州金のつぶ」を感状(後の恩賞の約束手形)とともに実感できる形で与えています。

働く者にとって、経営者に個人としての存在を知ってもらい評価してもらえるということは何にも替えがたいよろこびです。場合によっては、報酬以上のよろこびを感じることさえあります。稲盛さんは、高熱をおしてまで全ての忘年会に参加しました。永守さんは、2,000人の従業員に賞与とともに本人宛ての手紙を添えました。

人の情が経営の根幹であることは、有能な経営者であれば古来から知りつくされたことです。戦国時代、中国地方を制覇した毛利元就は律儀な性格で、正月の祝いの宴では元日から10日間もの間、酒席をはり末端の配下とまで盃を酌み交わして歓談し親しみの情を示しています(ただし、元就は下戸だということですが)。

print
いま読まれてます

  • 社員2000人の賞与に直筆の手紙。カリスマ経営者「やる気」引き出し術
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け