韓国、裏切りの口実「慰安婦問題」
アメリカが中国に勝つために、韓国は大事。そうなのですが、韓国は、米中の間で揺れています。なぜ?
08年に「100年に1度の大不況」が起こったとき、アメリカは沈み、中国は浮上した。なんといっても、08、09、10、11年と、ずっと9%以上成長している。韓国は、「嗚呼、これでアメリカの時代は終わった。これからは中国の時代がくる!」と確信した。それで、早々とアメリカを裏切って中国につくことにした。
日本も韓国のこといえません。09年、親中反米民主党政権が誕生していますから。
それで、韓国は、アメリカと中国の「二股外交」を行う。すると、当然アメリカの要求と中国の要求が違うケースが出てきます。そのとき韓国は、どうやって米中の要求をかわすのか?
「日本のせいで、あなたのいうことを聞けません!」と。
全国民必読の名著「中国に立ち向かう日本、つき従う韓国」鈴置高史 から引用してみます。
「日本と軍事協定を結ぶな」と中国が韓国を脅す。
だが、この協定は米国の強い意向を受けたものだ。果たして米中どちらの言うことを聞くべきか― 韓国は板挟みになった。(34p)
メチャクチャわかりやすいケースですね。米国が、「結べ!」と要求。中国が、「結ぶな!」と要求。これは、「日韓軍事情報包括保護協定」のことです。2012年6月に締結される予定だったのが、韓国に「ドタキャン」された。その理由は、なんだったのでしょうか?
韓国はいつもの「反日」を利用して切り抜けようとした。
韓国では運よく左派が「反日」を理由に協定締結に反対していた。韓国はこれを利用して、中国に対しては「ご指示の通りに軍事協定は断りました」と歓心を買った。
その一方で、米国に対しては、「ご指示の通りに協定を結ぼうとしたのですが、日本のせいでできません。従軍慰安婦問題や独島(竹島)問題で日本が強情なため、我が国の左派が反対するのです」と責任を転嫁した。(41p)
この例を見てもわかるように、韓国はアメリカのいうことを聞きたくないとき、「日本のせいでできません。日本が慰安婦問題で強情なのが、一番の原因なのです!!!」と主張してきた。それでアメリカは、「じゃあ、慰安婦問題を解決すれば、いうこときくのか?」とせまった。すると朴さんは、「その通りでございます!」といったのでしょう。
韓国がアメリカのいうことに従ったのは、「中国への幻滅」もあるのでしょう。まず、中国経済がダメになってきた。そして、中国は、北朝鮮から韓国を守る気が全然なさそうだ。経済面でも安全保障面でも、期待されたメリットはなかった。それで、「やっぱり、金をせびるなら日本よね」となった。今回は「10億円で示談」ということなのですが、他のケースで「金出しやがれ」と要求が来るに違いありません。
アメリカの意図まとめ
まとめてみましょう。
1. AIIB事件で、アメリカは、中国に対抗せざるを得なくなった
2. そのために、アメリカは、ウクライナ問題を解決し、中東から距離をおきはじめている
3. 中国と対峙するためには、アジア諸国との連携が不可欠
4. しかし、本当に頼りになりそうなのは、軍事費世界8位の日本、9位の韓国である
5. アメリカは日本を「戦える状態」にする必要があり、「集団的自衛権行使容認」を急がせた
6. 韓国は、日本と「慰安婦問題」をダシに連携を断るので、アメリカが仲介し、問題を解決させた
いずれにしても、アメリカは韓国を中国から引き剥がすことで、「中国孤立化」の大きな一歩を踏み出しました。アメリカ的には、「勝利」といえる。
しかし、道はまだまだ長いです。
次号では、「日韓慰安婦合意」、日本にとっての意義について触れます。
image by: Drop of Light / Shutterstock.com
『ロシア政治経済ジャーナル』
著者/北野幸伯
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