「人民元」という蝶の羽ばたきが、世界に嵐を巻き起こす

 

脱ドルペッグと通貨バスケットへの連動

昨年、中国人民銀行は脱ドルペッグの意向を公にし、その後、明確な表明なしに通貨バスケットへの連動に切り替えたようである。

金融危機以降も、人民元は、対通貨バスケットでは一貫して上昇している。「通貨安戦争」には目もくれず、より多くの通貨に連動させることでの「信頼獲得」を目指していることが伺える。

この先もし、米ドルが世界準備通貨という特権を失えば、史上最大の借金大国という現実に直面し、ドルと米債は非常に高いレベルの投機的水準にあることが取り沙汰される。

投機的水準にある米ドルと米債から人民元を切り離すことで(ペッグを大幅に緩和することで)、それへの準備を今から進めていると捉えることもできる。

米ドル、米債を売って金保有を積み上げ、SWIFTに代わる(または補完する)システムの構築を目指していることなどはその表れだろうか。

当然、これを見越したマーケットは先回りする。昨年、年央からの金融市場の不安定な動きに対し、日米メディアは中国景気の減速資本流出を強調しているが、これは批判と言うよりはむしろ、悲鳴に聞こえはしないか。

グローバル時代、誰かが勝者となることはない。一国の身勝手な政策が周囲を疲弊させ、結局はそれが自らに跳ね返るという現実がある。それをみなで繰り返しも出口は見つからない。

我々が進む道は、「協調以外にないのである。

関連ページ:世界は今、「人民元」をドル円に並ぶ主要通貨にしようとしている

image by: image by: Wikimedia Commons

 

グローバル時代、こんな見方も…
グローバル時代、必要なのは広く正しい世界観。そんな視点に立って私なりに見た今の日本の問題点を、日本らしさの復活を願い、滞在先の豪州より発していきたいと思います。
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