どっちが偉くて儲かるの?公認会計士と税理士を徹底比較してみた

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「公認会計士は税理士よりも格上」が通じる世界と通じない世界

監査法人や、公認会計士が転職していくコンサル・金融・上場企業、それからMARCH以上の大卒が多数就職する大企業では、公認会計士の知名度は高くて、税理士との違いを質問してくる人は少ないでしょう。

ところが地方経済圏や中小企業の世界、それから有名大卒があまり入社してこないようなサービス業や職人が中心の職場では、両者の違いは一般的に分からない。

そのため、独立したり、人脈を広げようとして地域コミュニティーに入っていくと「公認会計士さんって何をしている人なんですか」と何度も聞かれることになる。

監査の仕事内容や派生するアドバイザリー業務の内容なんて、彼らにはちんぷんかんぷんで理解してもらえない。

特に地方や中小企業では、会計事務所の職員を「経理士」や「会計士」という呼称で呼んでいることがあり、単に「会計士」と紹介すると、税理士に雇われていると思い込むおばちゃんや親父さんに出くわして面倒くさいもんだ。

そのため、多くの公認会計士が地域コミュニティーにおりていくと、説明するのが面倒臭くなり自分のことを「税理士」と言っておくようになってきます。

これが実態です。

公認会計士は税務を舐めているし税理士は会計を舐めている

会計士試験や修了考査で学ぶ税法は計算構造の理解に配点が偏っており、これは監査の税金科目を見る際の申告書の計算調べも同じです。

中小企業の税務は簡単で、申告書作成ソフトの力を借りれば、監査法人で3年程度の実務経験がある公認会計士は1年で実務が出来るようになるし、その水準で報酬も貰えます。

しかし、顧問をいくつか抱えてくると、細かい税務について、通達はおろか判例にまで当たらなければならない事例も出てくるので、会計事務所の実務経験が少ない公認会計士は対応が遅くなる。

計算の仕組みが分かっている程度の理解で、税務は語れず、奥深く面白い分野です。そのうえ、税務は間違いが会社の現金支出にダイレクトに結びつくような緊張感の高い業務であることを忘れてはならないのです。

監査法人でたくさんの基準を実際に議論して身に付けてきたであろうけど、同じ数だけ通達や判例があると思っていい。税務をやるなら一からまた謙虚に勉強を始めなければなりません。

一方で、連結やファイナンスの理解を必要とするような今日びの会計について、税理士一般は、付け焼刃の勉強で自分でもできると思っている傾向があります。特に試験組の若手さん。

確かに試験に出題があるなしは関係なく、連結やファイナンスの勉強はできる。しかし、大手監査法人や上場経理で経験していない。これが大きいのです。

中小や零細企業の経理指導や会計ソフトの入力などを会計業務としてきてその延長線上に「会計・監査」を位置付ける税理士は仕訳や表示を議論する現場を知りません。

そこで多くの地場の公認会計士がそうした仕事を持っていても、普通は税理士をアサインしたいとは思わないのです。

監査六法や基準書のことを理解していないし、それによる監査への説明責任、なによりも重要性の概念感が共有できない。

公認会計士も税理士もプロになれば試験で出題される内容はもちろん、経験できる環境があり道が開けているかどうかが一番の問題で、お互いに経験がない分野については慎重な態度をもった方がいいのです。

>>次ページ ホントのところ、どっちが儲かるの?

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