トヨタが突然、全工場の生産を全面停止。一体、何が起きたのか?

 

キラー素材だった?

【読売】は8面の経済面に記事。「トヨタ、9万台生産遅れか」「部品代替難しく」「国内全16工場停止」との見出し。1月8日に愛知製鋼で起きた爆発事故の後、愛知製鋼の別のラインでの増産や神戸製鋼所などに代替生産を委託するなどして対応。当初は残業と休日出勤を取りやめる減産で乗り切る計画だったが、来週の生産に必要な部品の確保が間に合わなかったとみられる、としている。

これにより、9万台以上の生産が遅れる見通し。海外工場の生産は続ける方針だという。

トヨタは過去にも、97年のアイシン精機の火災、07年中越沖地震、11年の東日本大震災などで生産停止に追い込まれている。発注先を複数にするなどの対策をとってきたが、「今回は、愛知製鋼の特殊鋼と同等の強度を保つ鋼材を、別の鋼材で代替するのが難しかったとされる」。

uttiiの眼

それぞれのところの末尾で書いたように、《朝日》と《東京》を見ても、今回、トヨタがなぜライン停止を決断したのか、究極の決断理由がどうもぼやけていると感じていた。《朝日》は遠隔地の輸送が必要となり、また大雪の影響でその輸送が困難になったと書いているが、どうも頭から信じる気になれなかった。《東京》も、特殊鋼がとの部品に使われているかを確認するのに手間取って、その間に在庫が払底したという説明。これも実のところ、分かったようで、よく分からない話だ。トヨタが特殊鋼の使われ方を把握していないなどということは信じられない。

《読売》の短い記事の最後に書いてあることは、その意味で、なるほどと思わせるもの。愛知製鋼の作るものと同じものを他社が作れなかったということだろう。愛知製鋼の特殊鋼はキラー素材ということだ。そのことと、在庫量の問題は、また別なのかもしれない。

image by: Wikimedia Commons

 

uttiiの電子版ウォッチ』2016/2/2号より一部抜粋

著者/内田誠(ジャーナリスト)
朝日、読売、毎日、東京の各紙朝刊(電子版)を比較し、一面を中心に隠されたラインを読み解きます。月曜日から金曜日までは可能な限り早く、土曜日は夜までにその週のまとめをお届け。これさえ読んでおけば「偏向報道」に惑わされずに済みます。
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