甘利氏「涙のサプライズ辞任」を美談にしたがる異常事態

 

清島は清島で、2億円以上も不労所得があったのだから、分け前を寄こせ、となる。同年8月20日、清島は一色から500万円を受け取った。事件が発覚してから甘利側が調べたところでは、清島はこの件についてこう語っている。

「500万円を受領して…300万円については、その後、本来、自腹でしなければならない支出、支払いなどに使った」

つまり、200万円は政治資金として処理したが、300万円は自分のフトコロに入れたというわけである。

もちろん、最大の問題は甘利自身がどこまで関与していたかということだ。

清島が500万円を受け取った後の、11月14日、一色は清島に案内されて甘利の大臣室へ通された。そこで、甘利が50万円入りの封筒を受け取ったこと。それは甘利自身が認めている。ただ、スーツのポケットに封筒をしまったと文春が報じているのに対し、甘利本人は「そんな品格を問われるような行為はしていない」と言っている。

その後も、清島は一色とともに、URからの国家資金収奪にのめりこんでいく。URの道路工事によって薩摩興業の敷地に亀裂が入り、補修のためにはその下に埋まっている産廃の撤去をしなければならないとして、薩摩とURとの間で30億円規模の補償交渉がはじまった。一色は当然のごとく甘利事務所に口利きを依頼した。清島にしてみれば、錬金術の新たなタネが転がり込んできたようなものだ。

翌2014年2月1日、一色は大和事務所の応接室で甘利大臣と会い、URとのトラブルの状況を説明する資料を手渡した。そのさいも、甘利は50万円入りの封筒を受け取っており、これについても甘利は事実と認めている

ただし、2回にわたって甘利が受け取った50万円ずつ、計100万円のカネは、2件合わせて14年2月4日、甘利が代表をつとめる自民党神奈川県第13選挙区支部で寄付として適正に入金処理したと、甘利は主張している。しかし、13年11月14日の献金を14年2月4日として収支報告書に記載するのは、いわゆる「期ズレ」であり、「期ズレ」だけで東京地検特捜部に痛めつけられた小沢一郎事務所のことを考えると、少なくとも適正とはいえないだろう。

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