最古の兵法書を読んでわかった、日本が中国・韓国と相容れない理由

 

「武」は秩序を生み出す力

「闘戦経」の第1章はまさしく、我が国を形作った「のあり方について述べている。

私たち日本人の「武」というものは天地の初めからあるものである。その「武」の力によって天と地がわかれたのだ。それはまるで雛(ひな)が卵の殻を割るように自然なことであった。私たち日本人の「武」の道はすべての根元であり、いろいろな考え方の大元になるものである。

 

我が武なるものは天地の初めに在り、しかして一気に天地を両(わか)つ。雛の卵を割るがごとし。故に我が道は万物の根元、百家(ひゃっか)の権與(けんよ)なり。
p12

「天と地がわかれる」とは、古事記の冒頭で、世界の最初は混沌としていたが、やがて天と地が別れて秩序が生まれてきた、と書いてるように、「秩序が生まれた」という意味である。

日本列島はかつて無数の部族があちこちに割拠していたが、それを1つの国家として統合し、秩序を生み出したのが「武」であった。解説者の斎藤孝氏は、こう説いている。

「武」という言葉は「矛(ほこ)」を「止める」という字からなっています。つまり「矛を収める」という意味も含んでいるのです。武によってすべてをやっつけてしまっては何もなくなってしまいます。武の力で混沌としたものに秩序を与えていくことが大事なことなのです。
p13

国家とは、人々が一緒に暮らしていくための「秩序を支える存在だ。たとえば、湾岸戦争後のイラクでは国家が崩壊して、民衆を守る秩序が失われた。そこに多国籍軍の一環として自衛隊が進出し、荒廃した土地に住む人々のために飲料水を提供したり、学校を作ったりして、生活を支えた。

残存する武装勢力がロケット砲を打ち込んでくることもあったが、それで自衛隊が帰ってしまうことを恐れ、140名の現地人のデモ隊が自衛隊宿営地に詰めかけて、「日本の支援に感謝する」「帰らないで」と懇願した。

自衛隊の「武」が支える秩序がなければ、これらの人々は武装勢力の餌食になったであろう。「は秩序を生み出すもの、これが「闘戦経の大前提である。

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