老眼鏡はもう不要の時代に突入したようです。イギリスでは老眼の人を対象とした最新のインプラント治療を発表しました。「老眼」という言葉自体が死語になる時代も、そう遠くないのかもしれません。
3,200万人のメガネ人口が期待する老眼向け最新レンズ
ご存知のように、老眼は年を重ねていくと、水晶体の弾性が失われて、調節ができなくなり、近いものにピントが合わせられなくなる現象です。一般的には40代前半で始まり、読書やスマホ操作、化粧をするときなどに困ります。
先日、英デイリー・メールが「老眼の女性はこれで化粧もちゃんとできます!」と少々失礼な見出しで、はじめて老眼の人向けの最新インプラント用「四重焦点レンズ」(QuadFocal lens)が登場したことを紹介しました。
これまでの老眼インプラント治療で最も進んでいたのは、老眼を人工の「三重焦点レンズ」(trifocal lens)に置き換えることで状態を正しくするメソッドでした。この三重焦点レンズとは近方、中間、遠方がみることができるレンズです。今回この新しいレンズはこの3つに加えて、さらに近点が加わりました。1フィート(30.48cm)離れた地点で、ぼやけないで見えるというものだったのですが、このレンズではなんと近点を5インチ(約12.7cm)近くで見てもはっきりと見えるというのです。画期的ですね。ちなみにこの最新レンズは今のところロンドン市内のLondon Eye Hospitalのみで導入されているようです。
イギリスでは、以前から老眼の視力回復技術を積極的に取り込んでいます。2014年には極小インプラントを角膜の下に埋め込んで近距離に焦点を合わせることができる“Raindrop”という三重焦点レンズを用いた老眼治療法を発表しています。当時、この手術費用は£2,495(約40万円前後)となかなかお高めでした。では、なぜこんなにもイギリスは視力回復技術にこだわるのでしょうか。
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