あえて科学者に質問してみた!結局、「結婚」ってした方が得なの?

 

結婚と事実婚の違いは何か?

以上のことは事実婚であっても結婚であっても成立することである。つまり、事実婚と結婚においてこれまでの解説において差はない。では事実婚と結婚の差は何なのだろうか?

結論から述べると、結婚と事実婚との差は「結婚では別居していても内縁となること」にある。

事実婚の場合は、別居すれば内縁も解消される。しかし、結婚すると離婚するまで内縁関係は続くのである。この点に結婚の特徴がある。

収入の多い人と結婚し、別居すれば働かなくても収入の半分を取得できる。離婚が簡単にできればいいが、両者が離婚に同意しないと裁判になり時間がかかるのだ。(歴史上、離婚しないことを前提に制度がつくられているので仕方ない)

そのため、別居して離婚が成立するまで収入の半分を払い続けるという「婚費地獄」が始まる。

結婚と事実婚のどちらを選択すればいいか

では、結婚と事実婚のどちらかを選択すればいいかについて考えよう。

上記の考察から、結婚のメリットは

[1] 社会的偏見にあわない [2] 別居しても利益の山分けができる

ということになる。

日本では事実婚に対する偏見が大きいように思われる。もしも両親や会社が事実婚に対して冷たく、収入差もそれぼどないならとりあえず結婚しておくのが正しい選択だろう。

また、相手方の収入が自分より高く節約家の場合は、必ず結婚するようにしよう。利益山分け制度により、婚姻期間中の自分の利益を大幅に上げることが可能だからである。一方、相手方の利益が自分より大幅に低い場合は事実婚の選択をおすすめする。婚費地獄という悲劇を避けるためである。

さて、つい最近、以下のようなアンケート調査の結果を見つけた。

「これだけは譲れない!」女子がこだわる結婚相手の条件3つ

3つの条件は以下の通りである。

[1] 安定した収入 [2] 思いやり価値観 [3] タバコを吸わない・金銭感覚が合う

女子は利益の高い男性と結婚することのメリットを理解していることがわかる。

今後、結婚制度はどのようにすべきか

最後に結婚制度を今後どのようにすれば最適なのかについて私の考えを述べる。

その前に結婚制度が生まれた過程について考え、結婚制度の意義を再確認する。上記の議論から、結婚の制度は「利益山分け」、すなわち扶養にすぎないことがわかる。なぜ扶養の義務があるかというと、昔は力仕事の価値が高かったことに起因する。昔は力のある男性が力仕事をし、女性が家の仕事をすることが主流だった。この役割分担により、狩猟の効率化を行っていたわけである。狩猟は家仕事と比べ生死に関わるため、男性の方が社会的地位が高かった。狩猟は一人でやるのではなく協力して行うものである。そのため、男性同士仲がよくないといけない。チームプレイがうまくいかないと最悪の場合、生存の危機に陥るだろう。恋愛はトラブルのもとを引き起こす厄介なものである。そこで、結婚というルールを用いて、自分のパートナー以外との付き合いを絶って秩序を保ったのである。そのため、婚姻中の浮気慰謝料という形で厳しく法律により罰せられる。一度、結婚すると基本的に破棄(離婚)は許されない。なぜなら、離婚は女性側の死を意味するからである。この結果、利益山分けという扶養義務が生じたのである。

以上のことから、結婚の意義は「社会的弱者の救出」にあると考えることができる。では、結婚制度を今度どうするかについての私の考えを述べる。

結論を先にいうと

結婚制度を廃止しベーシック・インカムに統一する

というのが私の考えである。

ベーシック・インカムとは「基礎収入」という意味で、生活最低限の収入を全員に与えようという考えである。簡単に言うと全員に毎月10万円ほど普及しましょうという考え方である。一見不可能のような話だが、実はベーシック・インカムの実現は可能である。なぜならテクノロジーによって生産性が格段に向上したからである。昔は畑仕事を人がしていたが、現在は機械が代行してくれ、最低限の食料確保を可能にした。これはもはや働かなくても生活できること(ベーシック・インカムの実現)を意味しているのだ。実際に海外ではベーシックインカムの社会実験がスタートしている。

“ベーシック・インカム”必要最低限の給付をオランダで実験「幸福度が増す」

結婚制度というのは、社会的弱者を助ける制度である。利益山分けも養育費も社会的弱者救済のために存在する。
一方、ベーシック・インカムも社会的弱者救済のためのものである。よって、結婚制度を廃止ベーシックインカムに一元化すればいいというのが私の考えである。もちろん、浮気に対するペナルティも必要ないと考えている。恋愛でのトラブルに国が口をだすべきではない。ベーシックインカムによる一元化により、離婚の際にかかる費用(離婚の手続き、弁護士の仕事など)を削減できる。より無駄がなくなり私たちの暮らしはよりよいものになるだろう。生産性の劇的な向上が私たちの生活習慣に大きな影響を与える。結婚制度の破綻は、その一例にすぎない。

image by: Shutterstock

 

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