北海道新幹線開業の陰で…消えゆく「夜行列車」たち

 

さて、その「はまなす」ですが、青森と札幌を結ぶ夜行列車でもあります。

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撮影: 中尾一樹

通常の用務客のみならず、ライブやロックフェスといった今風の需要も多く、エゾロックや「嵐」のコンサートなどの前夜には最大12両編成まで増結されます。

さらに札幌発は胆振地方の最終列車としての機能をも持つため、地元自治体から何らかの形で残してほしいという要望さえあったほどです。

新幹線開業後は、東室蘭までは特急「すずらん」が増発されることになりましたが、そこから先は完全廃止となってしまうため、今後は夜行バスに乗るしか選択肢がなくなってしまいます

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撮影: 中尾一樹

「はまなす」のもうひとつの特徴は寝台車と座席車の両方を連結しており、寝台車は古典的(?)な開放式B寝台車。

座席車は指定席と自由席で大幅に設備が異なります。

まず寝台車からご説明すると、昔ながらの二段ベッドが並ぶ室内は、もはやこの列車でしか体験できなくなっています。

ちなみに「開放式」とは個室ではない寝台という意味で、B寝台とは昔の3等寝台を指します。

現在わが国に存在する最後の二段式開放寝台でもあるため、この機会を逃すと一生乗車できなくなる可能性があり、そのため寝台券の確保が極めて困難な状況が昨年から続いておりますが、映画「風立ちぬ」にも登場した昔ながらの寝台車を体験したいという方は、根気よくみどりの窓口に通ってみてくださいませ

そして座席車ですが、指定席は3種類の「座席」タイプがあります。

一番人気なのが「カーペット車」で上の段はベッドタイプ。下の段はカーペットに雑魚寝するスタイルで、昔の青函連絡船桟敷席を思い出します。

寝台車と違い格安で利用できるため登場時から人気が高く、真っ先にこのタイプが売り切れます。

次に人気なのが「ドリームカー」で、元特急用グリーン車のイスがついているため、背もたれが深々と倒れます。

1950年代以来の伝統たるゴツいフットレストやテーブルが特徴で、このシートもいまや絶滅危惧種です。

最後のひとつは通常は自由席として使われるシートで、国鉄特急型ではおなじみだった簡易リクライニングシートです。

このシートを連結した3号車と7号車は混雑が予想される時期には指定席として発売されるため「ハズレ席」などと呼ばれてましたが、廃止寸前の今となってはそんな贅沢を言ってる余裕はないでしょう。

最後に自由席ですが、これは予約不要で、当日早くから並べば乗車できます。

ただし最終運行日となる3月20日(札幌発)と21日(青森発)は全車指定席となりますので、自由席に乗りたい方はこの両日をさけて乗るようにしましょう。

以上かけ足でご紹介しましたが、今しかできない旅をあなたも体験してみませんか?

Image by: 中尾一樹

Source by: 客車隊報

客車隊報
著者/中尾一樹(海峡同盟 代表)
青春18きっぷやクルーズ列車等の情報を中心としたメルマガを配信中。旅行サークル「海峡同盟」では青春18きっぷで北海道に行けなくなる可能性が発生したことをきっかけに2001年に結成。最近は海峡特例を守ることを目的として、国土交通省・運輸審議会が主催する公聴会に参加し公述人として意見するなど活動を行っている。
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