独メルケル首相が、EUを崩壊させているという事実

 

メルケルさんは、EUを崩壊させている

メルケルさんが共産主義者なのか、断言はできません。それはともかく、彼女の決定が原因で、EUは崩壊しつつあります。理由は、皆さんご存知ですね。「難民問題」です。去年1年間で、ドイツに100万人強の難民がやってきた。シリア、イラク、アフガン、リビアなどからです。特にシリアからが多い。

それでEU諸国は、「俺たちは、もう難民入れたくない!」とごねている。ごねているだけでなく、いくつかの国は、国境に鉄条網をつくり、隣国から難民が流入してこないようにしています。

なぜこれが、「EUの崩壊」につながるのでしょうか?

EUは、1つの国のように、人、物、金の行き来が自由になっている。人の流れは、「シェンゲン協定」で定められています。EUのほとんどの国は、この協定に加盟している。それでEU内なら、まったく「1つの国内」にいるがごとく、隣国から隣国に、なんの検査もなく移動できる。

ところが難民問題に対する立場の違いから、隣国との国境を封鎖し、「入国管理」がどんどん復活している。つまり、EUの柱の1つである、「人の往来を完全に自由にするは、事実上崩壊しているのです。

1つ例をあげましょう。難民が来る、もっともポピュラーなルートは、トルコとギリシャです。この2国に上陸して、豊かなドイツを目指す。現在ギリシャには、「1日2,000人」(!)の難民が来ているといいます。

ところが、隣国マケドニアが、国境を封鎖してしまった。それで、難民たちはマケドニアに抜けることができず、ギリシャ国内に封じ込められてしまった。そのギリシャは、皆さんご存知のように、事実上の「国家破産状態」にある。失業率は27%(!)で、難民に仕事を与えるどころか、自国民も働く場所がない

それで、かわいそうな難民たちは、住む場所も提供されず、路上生活をしているのです。こういう悲惨な現状について、EUでもっとも影響力のある政治家メルケルさんが非難されています。

解決策は明らかで、難民が祖国に帰れるよう、祖国の復興を支援すべきなのです。すでに来ている難民の衣食住を保証するのは、人道的に当然ですね。

ところがメルケルさん、いまだに、「EUは、人口5億人もいるのだから、数百万の難民を受け入れられないはずがない」などといっています(つまり、「もっと受け入れると宣言している)。

彼女は忘れていることがあります。100万~200万というのは、「1年間で」です。この状態が10年もつづけば、難民は数千万規模」になる。いったいどうやって住居を提供し、食べさせていくつもりなのでしょうか?

いずれにしても欧州は、「難民問題」があまりにも深刻で、他のことが何もできない状態になりつつあります。

私は、かなり前から、「欧州キリスト教文明はイスラム移民で滅びる可能性がある」と書いてきました。「大量難民問題」の発生で、そのプロセスは加速しているようです。

image by: 360b / Shutterstock.com

 

ロシア政治経済ジャーナル
著者/北野幸伯
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