強気が一変、安倍政権が「辺野古和解」に急転したウラ事情

 

和解勧告で官邸がビビった「敗訴リスク」

福岡高裁那覇支部による和解勧告の全容は、裁判官の判断により公開されていない。が、読売5日付によると肝心な部分は次の点である。

  • 国はそれまで「訴訟は99%勝つ」(政府高官)と見込み、司法判断をお墨付きに米軍普天間飛行場の辺野古移設を着実に進める方針だった。自信を揺るがしたのは「想定外だった」(政府筋)裁判所の和解勧告だ。
  • 1月29日、裁判所が示した和解案で、政府関係者が注目したのは、国の敗訴リスクに触れた部分だった。「(国が)勝ち続ける保証はない」「敗訴するリスクは高い」
  • 国が代執行に踏み切ったことに、裁判長が「丁寧な手続きを欠いている」との心証をもっているのでは、との懸念が政府内には広がった…。

同様のことを毎日5日付も書いている。

  • 和解勧告は政府に厳しい内容だった。
  • 1999年の地方自治法改正で「国と地方公共団体が対等・協力の関係となることが期待された」のに、現状は「改正の精神に反する状況」だと批判。今後も訴訟合戦が続けば「国が敗訴するリスクが高いとまで忠告した。
  • 首相官邸関係者は「他に道はないというのが代執行訴訟の出発点。和解勧告は想定していなかった」と明かす。しかし、勧告は想定外に厳しく、政府内に動揺が走った…。
  • 「和解勧告は『従わなければ国にとって厳しい判決になりますよ』というサインにも読めた。工事中断は痛手でも、自ら提起した訴訟での敗訴を確実に避けることを優先したのではないか」(仲地博)…。

毎日が指摘するように、99年の地方分権一括法の成立とそれに伴う地方自治法の大幅改正では、国が直接に指揮監督する「機関委任事務が廃止され、国が関与するのは「法定受託事務だけとされたが、その背景には、明治国家ではもちろんのこと、戦後になってもまだ中央政府と都道府県、都道府県と市町村は垂直的な上下の関係とされてきたのに対し、これからは国と地方公共団体とは水平的な対等・平等の関係であるとする原理的な大転換があった。

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