新しいアイデアを生むには、発想を「丸く」するよりも「硬く」するといい?

Ollyy
 

今までにないトンがった企画を生み出すためには、どうすればよいのか? 無料メルマガ『ビジネス発想源』の筆者・弘中勝さんは、商品開発や企画立案の際に忘れてはならない「ガッチガチの骨太を目指す」という視点について語っています。

骨太化の発想

いやあ、それにしても現在放送中のNHK大河ドラマの『花燃ゆ』、面白くないですよねー……。

「あれ、最初のほうは意外に面白いって、twitterで言ってませんでした?」と指摘する方はなかなか鋭いんですが、最初、確かに「面白そうな設定」だったんです。

主人公が吉田松陰の妹・文ということで、「そんな一般的に知られていない主人公なんて」と世間の反発も大きかったんですが、個人的には「これはいくらでも面白くできる設定」だと思っていました。

ただ「イケメン大河」とか「幕末男子の育て方」とか、明らかに主役・井上真央の『花より男子』のイメージを引きずったかのようなPRが出てきて、「これは危ないかなあ」とは感じてたんですね。

で、結局話が進んでいくうちに、びっくりするほど面白くない路線を進んでいて、やっぱり視聴率は低迷を続けていっています。

「やっぱり主人公の歴史的知名度が低いから」という分析記事もよく見るんですが、そんなことよりも、単純に面白くない。

何と言っても、主人公は女性ですが、「主人公を含め女性どもが、男の邪魔しかしていない」のです。

もうこれは最近の大河ドラマのトレンドで、女性視聴者をつかみたいのか何なのか、歴史上の男の偉人が頑張っている横で、「どうしても戦わなければならぬのですか」みたいな女が、必ずしゃしゃり出るんですよね。

『春日局』『篤姫』のように、女性が主人公の作品が視聴率が好調だったので、女性が前に出てくるといいと思っているのか、なぜか女が男の信念にちゃちゃを入れてくるんです。

でも『春日局』や『篤姫』は、作品全体がガチガチの女同士のバトルだったので、どちらかというと男の戦い的なところがあって、それを勘違いして「女が男にも負けない話」にすると、やっぱり視聴率は悪くなっていくんですね。

特に、『利家とまつ』が「戦国ホームドラマ」をうたって、結構高視聴率を取ったことが原因なのか、最近の大河ドラマは何かと、新しさを打ち出す時に「ホームドラマを目指す」とか言われるんですが、たいてい失敗に終わっています。

恐らく、女性視聴者もそんなぽかぽかした話は、朝の連続テレビの15分間で十分で、実はガッチガチの男臭い骨太大河を待ち望んでいるんじゃないかと思うんですよね……。

……などという分析は、もう20年近く大河ドラマを見続けている私の勝手な解釈に過ぎないんですが、商品開発や企画立案の際にも、実はこの視点を忘れないようにしています。

「ガッチガチの骨太を目指す」のです。

どういう意味かというと、何か新しいことを始めようとするときに、誰もが「これまでとは違ったものを」という発想をします。

これまでにない企画、今まで見たことのない商品、これまで誰も考えつかなかったもの、という真新しさを考えるんですね。

それは別にいいんですけど、ほとんどの場合が「軟化」の発想をします。

つまり、「女性にも喜んでもらえる中性的なもの」とか、「高齢者にも分かりやすいデザインコンセプト」とか、「子供も喜びそうなかわいらしさ」とか、今まであったものを柔らかくしてしまうのです。

でも、こういう発想はたいてい失敗してしまいます。

これは今までない発想のように思えるんですが、ただコンセプトを薄く伸ばしただけなんですね。

こういう時に光るのが、軟化とは逆の「骨太化」という考え方なのです。

例えば、男性のほうが利用者が多かったものを、女性にも使えるようにするという発想とは逆に、「男性の中でも、本当の男しか求めていない」というような、男臭さの真髄を目指すのです。

女性向けにするにしても「本物の美女だけ!」とか、「オシャレな高齢者のオバサマだけ!」とか、「学校の成績の良い頭のいい才女だけ!」とか、そういう一部の本物志向に固めてしまうのです。

そうすると、ほとんどの人は正しく理解できなくても、「なんかスゴイものが出てきたぞ」と、その振り幅に注目するようになるんですね。

いったん、ガッチガチに高級志向にしてみるとか、ガッチガチに硬派にしてみるとか、ガッチガチに西洋化してみるとか、一定方向に強く固めてしまうことが「骨太化」です。

それがなぜいいのかというと、一つの方向にガチガチに「骨太化」してしまうと、ただそれだけで「これまでとは違ったもの」になるからです。

これまでとは違ったものを作ろう、という発想から来なくても、勝手にそうなってしまうんですね。

だから、他社にはできないものができあがるのです。

大河ドラマも一度、本当の歴史ファンをうならせるような、ガッチガチのシブい骨太作品を作らないですかねえ……。

恐らく、歴史を全く知らないという女性でも、「よく分からないが、男どもが真剣すぎてカッコイイ」と感じると思うんですよねえ。

【今日の発想源実践】(実践期限:1日間)
・自社の現在の商品は、どのようなお客様の層をターゲットとしているか。ノートにまとめる。
・そのお客様の層の中の「上位3%の人」の人だけを対象にした、もっと上級の商品の案を考えて、簡単な企画案をノートにまとめる。

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