年金情報125万件流出問題、主要新聞各紙がどう伝えたかを徹底比較

 

読売新聞 クラウディオメガ

【読売】の1面もこの問題で、見出しは「年金情報125万件流出」と断定。32面33面には、関連する大きな記事。

uttiiの眼

《朝日》には書かれていない重要な情報があちこちに見られる記事。例えば、18日までに届いた多数のメールの添付ファイルを開けたのは1人だったこと、また、「基礎年金番号/氏名/生年月日」が分かれば本人に「なりすます」ことが可能になり、そうなると住所変更ができるので、第三者に郵便物が送られるなどして個人の年金記録が見られてしまうかもしれないこと。年金記録が第三者に知られるなどの被害を防止するため、機構は情報が流出したすべての人の基礎年金番号を変更するとしていることなどだ。情報が流出した総ての受給者と加入者に通知し、問い合わせに応じる専用電話窓口も用意する(この専用電話については《朝日》も書いている)。

《読売》の1面記事には、《朝日》が書いたような怪しげな公安情報が載っていない。「外国からの組織的攻撃の可能性」などという根拠なき憶測も、《読売》は1行も書いていない。少しは見倣ったらどうだろう、《朝日》。

関連記事はもっと面白い。何故、職員のパソコンがネットと機構のサーバーの両方につながっていたかについての説明がある。機構では、年金加入者に通知を送るなど業務上必要な場合に限って、パソコン端末を使ってサーバーに接続し、個人情報を引き出すことが許されているという。だが、その同じパソコンで業務メールの送受信も行ってしまったため、添付ファイルを開けたことで情報の流出につながったという。この説明は理解できる。

さらに、マイナンバー制度への不安は《読売》も指摘したうえで、今回の事件が昨年秋に大手企業などに送りつけられたウィルスと同じ型で、「クラウディオメガ」を名乗るネット上の攻撃グループの関与が疑われるとしている。今回についても、「日本の特定組織を狙って攻撃したことは間違いない」と結んでいる。

注意して欲しいのは、《読売》は「海外からの攻撃」とは一言も言っていない点だ。普段の調子であれば、「中国が疑われる」ことを示唆するような文章を書きそうなものだが(笑)、ここには全く無い。

>>次ページ 毎日新聞の記事にも重要な情報が

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