年金情報125万件流出問題、主要新聞各紙がどう伝えたかを徹底比較

 

毎日新聞 カスタマイズ型も

【毎日】の1面も同じく年金情報流出問題。見出しは「年金情報125万件流出」。「職員PCにウイルス」「機構 対策怠り拡大」。2面の関連記事は「PC全面遮断 20日後」との見出し。最新のウィルスソフトをいれていたが、「新種」のため検知できず、感染が広がった、としている。

uttiiの眼

この1面記事にもいくつかの重要な情報。最初の1台が感染した後、機構はそのパソコンだけを切り離し、あとはそのままにしたので、その後の攻撃によってまたしても1人が添付ファイルを開けてしまい、被害が広がったという。

ということは…業務メールの送受信に使っているパソコンは、総て、1台残らず、基本的には常時、サーバーとも繋がっていたということになる。これは駄目だ。《読売》の記事のイメージはもう少しまともな組織のそれだけれども、《毎日》が描き出す日本年金機構の状況は絶望的

さらに、警察当局の統計データが紹介されていて、昨年1年間に防衛やエネルギー関連などの事業者を通して把握した今回のような「標的型メール攻撃」は、1723件に上り、前年の3.5倍に急増しているという。

2面の記事にも新しい情報。今回盗まれた情報は、もともと社会保険オンラインシステムから、業務に必要なデータだけをCD-ROMなどで移したサーバーに入っていたもの。まあ、それでも、サーバーと接続しているパソコンが外部とのメールの送受信に使われている状況ではどうしようもないけれど。

最近の「標的型メール攻撃」は、SNSを利用して個人情報を収集してからメールを送る、「カスタマイズ型」が目立つそうで、防ぎにくくなっているという。なるほど、私たちはツイッターやフェイスブックで自分の個人情報を晒しては喜んでいる、というようなところがあり、それを攻撃者が逆用すれば、攻撃対象を油断させることもできるだろう。

マイナンバーについて《毎日》は、安全と危険の両論併記のようになっている。内閣官房社会保障改革担当室などが、流出の恐れは否定できないが、「年金、税、介護などの情報は各機関が保管し、情報をつなぐネットワークシステムは外部から閉ざされているため情報が芋づる式に抜き取られることはない」とするのに対し、会計学の醍醐聡東大名誉教授は「マイナンバーが導入されれば現在より桁違いの情報が集積され、リスクを集積する」と指摘している。

image by: wikipedia

<<続きはご登録の上、ご覧ください/初月無料>>

『uttiiの電子版ウォッチ』2015/6/2号より一部抜粋

著者/内田誠(ジャーナリスト)
朝日、読売、毎日、東京の各紙朝刊(電子版)を比較し、一面を中心に隠されたラインを読み解きます。月曜日から金曜日までは可能な限り早く、土曜日は夜までにその週のまとめをお届け。これさえ読んでおけば「偏向報道」に惑わされずに済みます。
≪無料サンプルはこちら≫

print
いま読まれてます

  • 年金情報125万件流出問題、主要新聞各紙がどう伝えたかを徹底比較
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け