確かに「外国子会社からの配当収入を減税する」ということは、多くの国行われていることです。それは間違いではありません。
が、日本の場合、その減税率が大きすぎるのです。今の日本の法律では、外国子会社からの配当収入には、ほぼ税金は課せられないようになっています。ここまで極端な税優遇は、先進諸国ではあまりやっていません。
しかも、トヨタが工場の海外移転を本格化した直後にこの法律をつくっているので、まるでトヨタのためにつくったようなもの、という状態になっているのです。
それと、もう一つの「研究開発費の減税」について。
確かに、企業にとって「研究開発」は支出なことです。が、企業にとって大事な支出は他にもたくさんあります。それをいちいち減税していたら、税金自体が課せられないことになります。
また今の日本の経済にとって、研究開発よりも、雇用の方が大事なはずです。だから、研究開発を増やすことよりも、まずは雇用を安定したり、雇用を増やすような方向の減税をするべきなのです。にもかかわらず、昨今の日本では「退職給与引当金」に新たに課税をするなど、雇用に対しては増税を行っているのです。
「退職給与引当金」というのは、企業が将来、生じる退職金の支払いのために、積み立てておくお金のことです。従来、この「退職給与引当金」は非課税とされていました。が、2003年から課税されることになってしまいました。
そうなると、企業は、退職給与のための積み立てをしにくくなります。特に、経営体力のない会社は、退職金を減らしたり、廃止したり、退職金が生じる正社員の雇用自体を減らすような方向に動きます。
しかも、この直後に「研究開発費の減税」が行われているのです。
やっていることの順番が、まったく違うだろう、ということです。
そして、この「研究開発費の減税」というのは、恩恵を受けるのが「製造業」をしている「大企業」に絞られます。製造業以外の企業は、なかなか研究開発などをすることはないし、製造業であっても中小企業では研究開発にお金を投じる余裕がないからです。
つまりは、この減税でもっとも恩恵を受けるのは、トヨタなのです。実際、この減税額の日本全体額の20%は、トヨタ一社で受けていたのです。もちろん、断トツのトップです。
このような「トヨタ優遇税制」は、絶対に日本経済の健全性を壊してしまう、と私は言いたいのです。
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著者/大村大次郎
元国税調査官で著書60冊以上の大村大次郎が、ギリギリまで節税する方法を伝授す有料メルマガ。自営業、経営者にオススメ。
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