ジリ貧状態の小さな工務店を窮地から救った、2代目社長の「決断」とは? 戦略コンサルタントとして活動する中久保浩平さんは、会社や組織のトップが備えるべき「決断力」と、その判断材料となる「理念や信念」の大切さについて、自身のメルマガ『ビジネス真実践』で、このように語っています。
決断 ~家を売らない工務店の話~
とある工務店の社長と出会ったのは今から5年前。先代から引継ぎ社長に就任して2年目のことでした。
ご相談頂いた当時の内容は、事業の方向性、あり方、そのものでした。
先行きが不透明で右に行って良いものか? 左に行って良いものか? そのような状況でした。
それまでは、官の仕事の割合が半分として成り立っていたのですが、公共事業も減り、且つ、小さな地域の市場でパイを奪い合う、挙句、価格競争という叩き合いが激化していたのです。
そうなると家業として営んでいる会社では体力的にも非常に厳しくなるし、組織としても機能しなくなる、仕事をすればするほど赤字が続いてしまうといったような負のスパイラルに陥っていくのも目に見えていました。
「このままでは・・・。」
しかしそんな状況下でもただ1つ光明がありました。
それが、社長の考え「まあるい暮らし」というものでした。
まあるい暮らしとは、「家」を建て販売するという考えではなく、家での「幸せなくらし」を提供する、という考えです。
ですが、「幸せなくらし」というのは、家での生活だけでは成り立ちません。地域との関りも重要になってきます。なので、安心して生活できる地域社会を作り出すことも必要です。
しかし、その考えを地元の人達(商圏)に知ってもらわないと仕事になりません。
そして、それを事業として成り立たせていくには、これまでの官の仕事を一切を捨てること、家族経営からも脱却すこと。
その決断が必要でした。
しかも、それが正解なのか間違っているのかも分かりません。
随分と悩み苦しみながら、前に進むため、会社を守るため、社長は決断を下しました。