中国のGDP減、アリババ創業者ジャック・マーはどう考えているのか?

2016.05.09
 

長年、すさまじいスピードで経済発展を続けて来た中国ですが、ここへ来てスピードダウンの兆候を示し、多くのメディアや識者の関心を集めています。しかし、中にはポジティブな見解を示す声もあるようです。

減速する中国経済。世界の有識者の見解は?

13.8億人という世界一の人口を持ち、2010年には日本を追い抜いて国内総生産(GDP)世界第二位の経済大国となった中国。

しかし、これまでめまぐるしい発展を続けてきた中国経済は、2016年の第一四半期を終えてスピードダウンの兆候を示し、その動向を多くの海外メディアが報じています。

先月、South China Morning Postに掲載された記事によると、2016年1〜3月のGDP成長率は2015年の第四四半期と比較して、1.1%増。

アナリストたちの1.5%という予測に反し、2010年以来の5年間で一番低い成長率となりました。

前年度比で見ても、6.9%増に留まり、これは2009年から今年までで一番低い数値となります。

世界的な投資家のジョージ・ソロス氏は、今回の中国の動向は2008年のアメリカの経済動向と酷似していると述べています。(こちらの記事でも詳しく紹介しています)

しかし、この意見に反して、FORTUNE誌は4月下旬、ポジティブな見解を示す記事を掲載しました。

アメリカの一人当たりのGDPは5万4,000ドルに対して、中国の一人当たりのGDPはたったの8,000ドル

都市の割合は、アメリカ80%に対して中国56%。

つまり、アメリカとは違って、中国にはまだ発展の可能性が充分に残っているというのです。 

「そもそも中国のような大国が、これまでの成長スピードを維持したまま発展すると期待するほうが間違いだ」。

アリババ・グループの代表ジャック・マー氏も、実際のところGDP前年度比はたったの5%増だったという指摘に対して、「それでは他国を見渡してみて、それだけのスピードで発展している国がどれだけあるかを考えてみるべきだ」と述べ、これからの中国の発展にはどれだけ雇用を生み出せるかがキーであると説明しています。

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ジャック・マー氏

 

「中国の伝統産業は伸び悩んでいますが、国内消費は拡大しています。サービス業、ハイテク産業、才能ある若者たちの活躍には期待が持てますし、物流や配達業ではスキルの低い労働者たちへも十分な雇用を生み出すことができます。総じて、まだまだ経済発展の余地はあると言えるでしょう」。

今回のGDP成長率の減速を察してパニックになった海外投資家が中国から身を引いてゆくのも逆に良い効果をもたらすはずだと、同氏はあくまでもポジティブな見解を示しています。

中国の希有な経済発展のスピードを見慣れてきた私たちからすれば、今回のニュースはたしかにネガティブなものに映るかもしれません。

しかし、発展の減速を経済の落ち込みと結びつけるのは確かに安易な見方のような気もしますね。

あなたは、どちらの見解が正しいと思いますか?

image by: Shutterstock

source by: South China Morning Post , South China Morning Post ,  FORTUNE

文/長塚香織

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