日本に来る留学生が初の20万人超え。311以降に起きたある逆転現象とは?

2016.05.11
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2011年に発生した東日本大震災の影響で、日本に来る留学生の数が著しく減少した日本ですが、2015年には海外から日本に来た留学生の数が初めて20万人を越えたと、The PIE Newsが報じています。日本語や日本の文化、技術を学びたいという留学生にとって、そして日本の教育業界のマーケットにとっても大きな回復の兆しとなりそうです。

昨年と比較して13.3%の増加 日本語習得の目的が最多

日本へ留学するため滞在した留学生の数は、昨年比13.3%増加したことによって、20万8379人という初の20万人越え快挙を成し遂げました

語学関連の業界においても、日本語を学ぶ留学生の数は25.2%も増加し56,317人という数にのぼったことは大きな変化です。

高等教育を受ける留学生の数が統計のほとんどの割合を占め、昨年度の統計と比較して9.3%も増加しました。

中でも、専門的な職業に関連した教科を習得できる高等教育の留学生が38,654人に増えました。

やはり、日本でプロフェッショナルな仕事の技術を手に入れたいと思う若者が増えたからでしょうか。

大学に関しては3年目の学期に日本へ来る留学生の数がもっとも多く67,472人でした。

また、2014年には減少していたものの、大学院生の数は4万1,398人。

大学へ入るためのコースを受けた留学生はたったの2,607名でしたが、18.7%というかなりの増加率です。

このうち、中国人留学生の占める割合が最も多いのですが、数は伸び悩み2015年には0.3%減少して94,111人とのこと。

減少したとはいえ、やはり中国人留学生の数は相変わらず多いようですね。

トップ3ヶ国は、韓国を差し置いて、中国、ネパール、ベトナムという意外な結果

一方で、ベトナムからの留学生はなんと47.1%という著しい増加を遂げ12,443名に。

ネパールに関しては55.5%アップの16,250名で、中国に続きこれらの国が留学生市場を占めるトップ3ヶ国となります。

また、初めて韓国人留学生(今回3.2%減少)を上回ったことも、2015年の大きな特徴といえるでしょう。

大学別に見ると、最も多いのは早稲田大学で、受け入れ留学生は4,603名、続いて東京大学は2,990名、そして日本経済大学は2,835名とのことです。

留学生30万人計画まであと一歩 今後の政府の対応策にも期待

留学生数を増やすことに成功した戦略的な一因としては、7.7億円という政府からの投資があったことが大きかったようです。

早稲田では、外国語で授業を受けることができるようにするなどして、8%から19%という倍以上の留学生増加に成功しました。

このように、2020年までに30万人の留学生を獲得すると安倍首相が提言した通り、「留学生30万人計画」の実現化に近づきつつあるのではないでしょうか。

日本経済の低迷が囁かれる中、シンガポールやタイなどの東南アジアの国々のパワーに押され気味の日本ですが、そうはいってもまだまだ経済大国。

日本独自の文化や言語に魅力を感じた、もしくは本格的に職を手に入れたいと思ったことで技術を学びに来る留学生が増えているのもうなずけます

観光やバケーションだけでは得られない日本での体験を、各国の若者達にもっともっと体験してもらいたいと思いますが、そこには政府の支援が不可欠といえるでしょう。

image by: Shutterstock

source by: The PIE News, 日本留学総合情報ガイド

文/臼井史佳

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